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"Google Chrome OS~最新技術と戦略を完全ガイド~""が面白かったので感想を書いてみます。

前半(第1章)は、現状から将来を見据えて外からみたGoogleがChrome OSを出す理由に関して説明しています。後半の章(第2~4章)はテクニカルな内容になっています。大きく分けて二部構成になっています。Chrome拡張に関しても記載があります。

テクニカルな情報が不要ならば第1章だけ読まれるのが良いでしょう。そこだけでも読んでいても面白いです。

前半には5~10インチのスクリーンサイズの隙間市場(モバイルスクリーン市場)に関して言及してますが、ここは現在のところIT業界では一番混沌としているところでしょう。本書でも指摘されていますが、IntelのMID、ARM系のスマートブック、AppleのiPad、電子ブックリーダー、HP&MicrosoftのSlateあたりがこの分野に進出を目論んでいます。

現在のところ海外では電子ブックリーダーが出荷台数的にトップかもしれませんが、主役がiPadに変わりそうな勢いです。このモバイルスクリーン市場にGoogleは、下からAndroidで上からChrome OSで進出を予定しています。

Google側から見るとAppleやMicrosoftが行うマイクロ・パッケージ・アプリケーション・モデル(App Store等)で顧客を囲い込まれてはGoogleの収益に影響が出る可能性があるためChrome OS等進出すると説明しています。Appleが先日iAdを発表していが、これはアプリ上で広告を表示するプラットフォームでWEBブラウザを介していません。Googleにとって生命線である広告プラットフォームを奪われた形になります。

このため、モバイルスクリーン市場より小さいデバイスに関しては、PCと少し違ったユーザ行動が発生します。Googleとしては自社の生命線のためにもここは譲れない市場なのでしょう。

また、GoogleにとってはWEBブラウザでアクセスするネットユーザの増加がそのまま収入に直結します。モバイルスクリーン市場より小さいデバイスの市場の開拓できるならば、そこに進むこともありでしょう。

本書が指摘していることはiAdが発表後はかなり信憑性があるように読めます(注:本書出版後にiAdの正式発表がされている)。

後半のテクニカルな箇所は、試してみたい人向けに適しています。

私は"Google Chrome OSをThinkPad X61で起動させてみた"にも書きましたが、X61にChromeをインストールしたときに相当苦労しました。そのときに本書があればどれだけ楽ができたのかと思うこともあります。

Chrome拡張に関しても詳しく記載されているため、Chrome拡張を作る人には読んでおくべきでしょう(一部先日行われたGoogle Extensions TechTalkと同じ内容があります)。

モバイルスクリーン市場は広がるかどうか現時点では未知数です。iPadや電子ブックリーダーが売れていますが、ネットブックやスマートフォン以上のデバイスが売れるか今のところわかりません。

私は、スマートフォンとThinkPad X201sの両方を使用しますが、スマートフォンは立っているときに、机がある場所で座ることができるならばX201sを使用します。ですが、電車で座れてもX201sを開く勇気はありません。

片手でしか操作できないケースならばスマートフォン以外に選択肢はありませんが、両手が使用可能で少しスペースがあるならば、スマートフォンが唯一の選択肢にはならないでしょう。このためモバイルスクリーン市場は開拓の余地が残されているのではないかと今思っています。

モバイルスクリーン市場の勝者が、iPadなのか電子ブックリーダーなのか、HPのSlateの様な製品なのかわかりません。ですが、面白いガジェットが出てくることを期待することにします。

【Chrome OS/本関連】
Google Chrome OSをThinkPad X61で起動させてみた
天才!成功する人々の法則~OUTLIERS THE STORY OF SUCCESS~の感想
READING HACKS!の感想

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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