JCF 2005の記者発表会のあとで、米IBMのPLMソリューションズ ゼネラル・マネージャー、ウォルター・ドナルドソン氏と少しの間、話す機会があった。
私はAMRリサーチのブルース・リチャードソン氏がさまざまな場面で話しているDDSN(デマンド・ドリブン・サプライ・ネットワーク)が理想型だと考えているのだが、最大手のベンダーとして、IBMがどう考えているのか聞きたかった。
ドナルドソン氏は、非常に親切に質問に答えてくれた。私はたいして英語をしゃべれないので、質問したときに相手の耳の傾け方を見るだけで、まじめに聞いて答えようとしているのかどうかがわかる。がんばれば意味は通じるのだ。とにかく、ドナルドソン氏は、黒人らしい(たいてい、黒人の声のトーンは優しいと感じる)やわらかさで、思うところを語ってくれた。
今回のカンファレンスは、主題がPLMとはいえ、ダッソーと共催なので必然的に設計・開発段階の効率化が主要な話題になる。ただ、ドナルドソン氏は、ゼネラルセッションの講演でも、そこだけがPLMではない、と明言した。実際に、製品の寿命が終わっても、企業は保守部品を在庫しておかなければならない。製品のローンチに失敗したら、在庫コストをまかないきれないかもしれない。
そうしたリスクも考えた上で、PLMをどう実装してくべきかを考えるべきだろう。また、ドナルドソン氏は、CRMとの連携など、いくつかの興味深い話をしてくれた。現場の話を聞いている人ならでは、だ。これから、世界で最も品質の高い製造業者(であり、かつIBMの顧客)を巡るらしい。再び日本に来てくれたら、是非会いたい。有意義な話を聞けた。
なお、製造業の海外移転が騒がれているが、この問題は面白いのでいままさに調べているところだ。製造コストなんて、実はそれほどでもない可能性がある。