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根も葉もない噂からまともなニュースまでを取り上げます

最近、バスにはまっている。今日は朝早くからもぞもぞと起き出して、目黒の雅叙園まで出かけてきた。三軒茶屋から目黒まで。これまでなら田園都市線と山手線でもみくちゃにされ、フラフラになりながらたどりついたところだが、バスなら1本。しかも混まない。本当にバスは便利だ。

バスの話は置いておいて、コグノスの話。先月更新をほとんどできなかったのは、単にさぼっていたわけではなく、このイベントで配られた書籍『チーフ・パフォーマンス・オフィサー』の編集作業などに忙殺されていたためだった(ことにしておきます。浅井さんごめんなさい、と言っても浅井さんの更新頻度の方がすてきです)。

著者訳者の栗原さん、編集を手伝ってくれたロビンソンの梅田さんやフリー編集者のみなさん、英治出版のみなさんと担当の鬼頭さん、そしてかっこよく装丁してくれたDeeplusDesignsイワタさん、本当におつかれさまでした。そしてありがとうございました。何とか間に合いました。

また話がそれた。本の宣伝は、amazon.co.jpや楽天ブックスなどで買えるようになってからするとして、このイベントは、コグノスの新BIスイート「Cognos 8 Business Intelligence」のお披露目会でもあった。そこで、このソフトウェアについてふれておく。

Cognos 8が面白いのは、機能の範囲が広い「BIスイート」であり、かつ完全にひとつのソフトウェアとして全機能が構成されていることだ。私は技術者ではないので、これが本当に技術的に正しいのかどうかはわからない。ただ、プラットフォーム部分が一元化されているものの、使用する機能によって買収製品を切った貼ったしているソフトウェアではないという点は確かなようだ。

これは、2つの点で大きなメリットになる。TCO(総保有コスト)を削減できることと、柔軟性(情報へのアクセスに対する自由度)が高くなることだ。

市場へのインパクトも大きいはず。現在、ビジネスアプリケーションスイートを提供するSAPやオラクルが、「企業の情報システムの中心」を取ろうと動いている。その中で、Cognos 8には、基幹系と情報系の議論を再燃させようとするエネルギーを感じるのだ。

SAPやオラクルのメッセージは、自社のパッケージでカバーできない部分を、自社のパッケージの中にある共通データストアに取り込んで、そこをベースに情報を活用しよう、というものだ。そのためにインテグレーション基盤を用意しますし、データウェアハウスもご用意できます、である。彼らは、すべてを基幹系の中で完結させ、その延長として情報系をとらえたデータ活用を提案していると言える。

これに対してコグノスは、基幹系=プロセス定義/情報蓄積型システムはいくつもあるのだから、それらから業務に必要となる情報を引き出して、自由に活用できるようにしてあげます、という。企業にとって重要度が高いのは情報を活用する方であり、そのために必要になるあらゆる機能とプラットフォームを提供します、というわけだ。そのためにCognos 8はETLとEIIを備え、さまざまなデータフォーマットに対応している。

BI市場は長い間、いつか爆発すると言われ続けてきた。Cognos 8の発表の前後には、ライバルのビジネスオブジェクツもスイートのメッセージを強化してきている。競合が起きれば市場は盛り上がる。基幹系と情報系の議論をBI側がうまくリードできれば、面白くなりそうだ。これはBI側とビジネスアプリケーション側のどちらが勝つかという問題ではないので、情報システム全体の設計思想として考えるのもいいかもしれない。そういう特集、怒賀記者あたりがやってくれないですかね。

いづもと

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コメント
mohno 2005/10/19 03:43

定着していた評価は変わってきたんでしょうか :-p
http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/2005/06/post_9a49.html#c510

いづもと 2005/10/19 04:03

mohnoさん
夜遅くか朝早くにコメントありがとうございます。ReportNetの評価は変わってきているようです。実際に、いろいろ取材していても、なかなかあれほどひどい評価を受けているソフトはなかったのですが、SIerの能力向上と製品への理解によってムリな導入をしなくなったことも一因でしょう。コグノスに取材すると、評価が低かった事実を認めた上で、その原因究明とフィードバックをきちんとしている印象を持ちました。昔、J.D.エドワーズがOneWorldの失敗を認めたときと同様に、潔さを感じます。コグノスも、失敗経験を糧にきちんと導入していけば、信頼を回復できるでしょう。今回発表されたCognos 8はReportNetのプラットフォームを引き継いでいますから、特に失敗から学んだところは多いはずです。

NABENO 2005/10/19 14:39

本来、基幹系システムをERPに入れ替える目的が、今回のコグノスさんの現在の主張と全く同じのような気がするのは私だけでしょうか。
一応SAPもOracleもBIと称する製品はあるのですが、ERPを売るのは上手でもBIやミドルウェア売る掛け声はいまいちですね。

また、何でも繋がりますキャンペーン中の大手ERP両ベンダーは最近M&A一色なので、こうした自前でしっかりと全て書き起こすソフト開発は安心感があります。

私は最近の某大手ERPベンダーの製品群のバラバラ感に、正直呆れております。
昨日某社のユーザ会がありましたが、会長さんがERPを中心に据えたミドルウェアによる統合は理解できるけど、最近ベンダーからのメッセージは「なんでも繋がります!ERP無くても繋がります!!」ってのは勘弁して欲しいとか。(激しく同感です)

Back to the Basic!

栗原 潔 2005/10/19 17:00

著者の栗原さん

訳者の栗原さん
修正お願いします^^

いづもと 2005/10/19 19:21

栗原さん
すみません。修正しました。本もこの調子でミスがないことを祈るばかりです。
NABENOさん
昨日はおつかれさまでした。「某社」がすけて見えるところがいいコメントですね。

NABENO 2005/10/23 00:35

いづもとさんへ
一応、某社OBですし現在も一応関係者だから良いかな。
引退された創業者にはきっと同意して頂けると思いますが、バラバラのものをつなげることと、バラバラなものをちゃんと統合することは別ものです。
ERP系ベンダーとBI系ベンダーの「企業システムの中心は俺だ!」論争に見える。
私見ですがどっちも正解で、両方必要と思います。

いづもと 2005/10/23 02:11

ははは。そうですよね。いつもNABENOさんに何突っ込まれるのか恐ろしいです。はい。このブログって、関係者が読んで書いてしているので、ベンダー側の意見がすごく強くなってしまうのですが、われわれは真ん中に居たいですね。


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プロフィール

井津元 由比古

井津元 由比古

1976年、神戸市生まれ。
京都大学経済学部経済学科卒業後、外資系SIに入社。
2000年、ZDNet Japan(現ITmedia)で主にビジネスアプリケーションを担当する記者に。
退職して2003年より月刊誌編集長。
2005年、有限会社ライトセブンを設立。

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