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昨年秋にスウェーデンを訪問し、国のICT政策などを取材した。記事はこちら

17102008_001 ストックホルム中心にある産業・エネルギー省のオフィスにおじゃましたら、ちょうどスタッフがケーキを食べていた。なんでも、毎週金曜日はスタッフ全員でお茶の時間を持ち、休憩室で交流を深めることにしているのだそうだ。ケーキは当番で持ち寄る。このときは、インタビュー相手のHenrikさんの番で、カッテージチーズをつかったシュガーフリーのお手製ケーキ(写真)を私もご馳走になった。(Henrikさんが「レシピを教えます」とのこと。興味のある方は連絡ください)

スウェーデンの人々は、自分たちの国が小さいということを活用している国だ。しかも、非常に戦略的だと思う。その昔はヴァイキングとして侵略活動により領土を拡大したかもしれないが、21世紀のスウェーデンにもヴァイキングの精神は消えていないと思う。ICTに限らず、企業は最初から国際展開を視野にもっている。国民は、スウェーデン語だけではコミュニケーションできる人は限られるとわかっているから、ごく当たり前に英語を話す。ベンチャー支援担当者によると、オフィスではスウェーデン人同士でも英語になってしまうといっていた。かといって、ネイティブではない私の耳にも、彼らの英語が100%完璧ではないことがわかる。でも、英語を使うことに抵抗がないから、コミュニケーションはスムーズで十分だ。人々はよく、「スウェーデンって小さいから」という。だが、話すうちに、彼らは「小さい」スウェーデンを誇り、愛しているのだと実感する。

14102008_086 これと関連して、「拡大」の思想を実感した。テロ対策の関係もあり街頭からゴミ箱が消え、ゴミを出すまいとする日本のアプローチ(違っていたらごめんなさい)に対し、こちらでは、ゴミは出るもの、これをイノベーションでエコフレンドリーにできないか、と考えているように見える。そうすれば、産業が生まれ、雇用が生まれ、人々の生活が潤う。人々は高い税金を払っているから、政治家のとる政策に関心を持つ。なんだか良い循環が生まれているように見えた。

もちろん、スウェーデンだって問題はある。当時、ちょうどVolvoが工場閉鎖計画を発表した後で、ちょっとしたニュースになっていた。スウェーデン政府は先日、VolvoとSaaBに対する支援をしない方針を明らかにしたようだ。また、日本でバブルが崩壊したころ、スウェーデンも経済危機に陥っていた(こちらに参考記事)。このときスウェーデンがとった危機克服モデルは、現在、英国などで注目されている。(写真はH&M。さすが本拠地だけあって、ストックホルムではあちこちにショップがあった)。

16102008_016 そうそう、この頃ちょうど、日本人3人がノーベル賞を受賞することが決定し、取材先でもその話が出た。なんでも、数年前に日本人がノーベル賞を受賞した際、日本のメディアの取材があまりにもすごかったため、その模様を取材したドキュメンタリーが組まれたとか(写真はストックホルム市庁舎にあるノーベル賞受賞の広間)。

そのスウェーデン、日本に高い関心を寄せている。ICTではロボット、環境では太陽エネルギー、食生活ではスシなど、日本の技術と文化に注目している。日本のアニメ・マンガも人気らしく、子どもが日本語を学びたがっているという人もいた。

sueoka

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末岡 洋子

末岡 洋子

欧州在住、フリーランスのライター兼ジャーナリスト。

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