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これ、旅行、ファッションや芸術の話ではない。大学などの高等教育における欧州というブランドだ。危機というと大げさかもしれないが、安泰でないことは事実のよう。ITやバイオなどの先進技術産業では、米国に遅れをとっている感がある欧州。その米国の大学や研究機関を支えているのは、米国人のほか、米国外からの優秀な留学生といわれている。
先に欧州連合(EU)が発表したEU加盟国の高等教育と留学生に関するレポートによると、域外の学生は欧州の高等教育に対して肯定的な意見を持っており、その多くが大学の長い歴史や伝統、教育の質などに魅力を感じているようだ。だがその一方、イノベーション、ダイナミズムなどが、米国と比べて劣るとの意見だったという。この調査は、中国、インド、メキシコ、ブラジル、ロシア、タイの6カ国の学生、および在米留学生を対象に行ったもの。米国を好む傾向はアジアの学生で強かったという。
私の住んでいるフランスも、教育では長い歴史を持つが、このところ留学生の数は減少傾向にあり、政府は課題の一つとしている。それよりも大きな課題といえそうなのは、フランスが育てたフランス人の間で国外就職する人が増えているという事実。“海外で働く”を特集する就職情報誌もみかける。この傾向は、高等教育を受けた人に強く、理由の多くは就職難にある。つまり、就職が難しいことから学生は高学歴の傾向にあり、博士号までとってみたが就職がない。となると、米国の研究所など自分を評価してくれるところがあれば、行くしかない。フランスの教育は基本的に無料。ということは、国の税金で育てた優秀な“苗”は、国外で花を咲かせているということになる。
欧州のどこかに留学するとなると、英国以外は言葉の壁も大きい(もちろん、英語も言葉の壁だが)。実際、アジアの学生にはこれが障害になっているようだ。それでも、現地の言葉をマスターして自分の興味があることを追求する留学生に、留学経験のない私はただただ感心する。
*写真は、在仏3年目にしてはじめて入ったCafe de Flore。文学カフェとして有名ですが、それよりも高級なカフェという印象。これも時代でしょうか?
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