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“Carte Orange(カルト・オランジュ)”として親しまれてきたパリのメトロの定期券が、正式に非接触ICチップを埋め込んだ“Navigo(ナヴィゴ)”に移行を開始した。

このCarte Orange、30年以上もパリ市民はもとより、旅行者(利用は1週間からOK)にも親しまれてきた定期券だ。パリ市のバス・地下鉄を運営するRATPらはこれまで約6年の間、ゾーンと期間を限定してNavigoを導入してきたが、5月22日より全ゾーンでNavigoを利用できるようにする。

12052006_004_s 12052006_009_s
Navigo
(友人のものなので、写真などぼかしています)
Navigoカードの裏面

12052006_001_s_2Carte Orangeといえば、はじめて知ったときに感心したことを思い出す。日本の定期券は1枚だが、Carte Orangeは、オレンジのカードと券が揃ってはじめて成立する。仕組みとしては、固有の番号を持つオレンジのカード(無料、日本の定期券と同じサイズ)に写真を貼り、毎月(あるいは毎週、毎年)券を別に購入、券に自分のオレンジのカードの番号を記入するというもの。改札機に差し込むのは券のみだが、検札時はセットで見せなければならない。専用のビニルケースがあり、それにオレンジのカードと券を入れて提示する(右の写真)。

つまり、オレンジのカードそのものは無期限なので、私の友人(6?歳)は30代のころから同じカードをそのまま使っている(写真を見ると、現在の彼女と同一人物と思えな……くもないか)。

だが、逆に券に記入する番号を“偽造”(ペンで分かりにくいように上書きする)することも可能で、10年前に初めてパリに来たとき、「これ(偽造)が上手」と自慢する友人がいたのを思い出す(その彼女も祖国ドイツに帰ってしまった。時が経過したことを痛感)。

さて、新しいメトロの“標準”定期券となるNavigoだが、Carte Orangeと違って写真付きの1枚の券となり、使い勝手はSuicaとほとんど同じ。色は前回のオレンジから紫色になった(ついでに、Carteと色つながりでもう一つ、こちらでは青(Bleu)の“Carte Bleu”は、クレジットカードの代名詞です)。

052006_002_sRATPらはNavigo奨励のため、以前から専用ゲートなどを設けているし、最近では、駅構内に、Navigo所有者のみが無料でインターネットが利用できるサービスをスタートしている。その効果があってか、Navigo利用者は現在約14万人。だが、Navigoは申し込みから発行まで約1ヶ月がかかるのが難点(手数料はかからない)。だから、定期券を定期的に購入しない私のような人が、今週はいるな、と思ってもその場ではNavigoはもらえない。

Navigoは読み取り機(左の写真)にかざすと、“ピーン”という独特の音がする。耳に嫌な音ではないが、これからあちこちで“ピーン”がこだましそうだ。

sueoka

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末岡 洋子

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