欧州の視点:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 欧州の視点

あまり紹介されることのない欧州系ITニュースが読めるブログ

« 2005年12月14日

2005年12月27日の投稿

2006年1月4日 »

06122005_012_s_1しつこいようですが、「Les Blogs 2.0」のお話をーー。重要なセッションについては書いたので、もういいかなとも思うのですが、今回のテーマはもっとも重要なことかもしれないので、2005年が終わる前に書いておきます。

Les Blogs 2.0の2日目、最初にスピーチをしたのは、米Six ApartのMena Trott氏。ご存知、Ben Trott氏と夫婦でSix Apartを立ち上げた共同設立者である。Trott氏はスピーチ中、これまでブログが収めた成功を確認しながら、「もっとブロガーを増やさなければならない」と述べた。また、「ブログは個人の声」と言うTrott氏、声を出すとたたかれることもあり、自身がブログを続けていくにあたって何度も批判されたことに触れた。「だいぶ慣れてきたけど」と苦笑。

06122005_014_sTrott氏は、「敢えて(反対意見を承知で)この場で考えてほしい」として、「丁寧な言葉使い」という倫理的なテーマを挙げた。このイベントでは、バックチャネルとして、イベント参加者や参加できない人がチャットで会話をしていたのだが、その発言に礼儀を欠いた(度を越えた)内容のものが多いというのが彼女の意見だった。バックチャネルは常時、ステージの画面に表示されていたのだが、Trott氏がそんな話をしていたちょうどそのとき、「くだらない(This is bullshit)」という発言が出た。ハンドルネームは“dotben”という人物。それを見たTrott氏は、「“dotben”ってだれ? どこにいるの?」と指名する。おずおずと立ち上がったdotbenさんに向かい、Trott氏は、昨日からひどい書き込みばかり書いているとして「You have been an asshole」と発言したーーAssholeを辞書で引くとお分かりの通り、これも「丁寧」とはかけ離れた言葉である。

この“事件”に関しては、いろんな人がブログしている。Technoratiなどで検索すると、さまざまな見解が読めておもしろいかもしれない。私の周りの席からは、Trott氏の意見は的外れではないのだが、感情的になりすぎたという意見があった。たしかに、dotbenさんに対して起立を求めたTrott氏と、立ち上がったdotbenさんは、学校の先生と生徒のような感じで、優等生的な発言を行った彼女に対し、なんのためのブログなのか?と言う人もいた。フランス人の中には、英語圏とフランス語圏のブログにおける文化の違い(冗談ですむ範囲が違うこと、ユーモアの感覚が違うこと)を指摘する人もいた(ちなみに、dotbenさんは(米国ではなく)英国の人です)。

Trott氏はオンラインパーソナリティという言葉に言及、ブロガーに対し、匿名性がネット上の倫理に与える影響についてもっと注意を払うよう呼びかけた。これは、ブログに限らず以前から言われていることだが、丁寧の尺度が人によって異なるのも事実。dotbenさんがTrott氏のスピーチを面白くないと思って「bullshit」と言ったとき、Trott氏とdotbenさんとの間で、bullshitという言葉をどのようなときに使うのかと倫理観が違ったといえばそれまでかもしれない。だが、インターネットという場所を皆にとって住みよいものにするためには、それで終わってしまってはいけない気がする。おもしろくないと思うのは個人の自由だが、それをどう表現するか、不必要に人を傷つける必要はないと思う。

ただ、スピーカーであるTrott氏はそれを論理的に説明する前に、感情的になってしまった。このようなTrott氏に批判の声もあったようだが、私は人間らしい一面が見れて親近感が増した。スピーカーとしてよかったかどうかは別だけど。

大切なことは、問題をやり過ごさすにディスカッションを行うこと。言語、宗教、民族が異なる人が共存するインターネットで倫理を論じるのは簡単なテーマではないが、声を上げたTrott氏は間違っていないと思う。この事件に関する当の本人による後日談は、Trott氏のものはここ、DotbenことBen Metcalfe氏のものはここに。

sueoka

« 2005年12月14日

2005年12月27日の投稿

2006年1月4日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

末岡 洋子

末岡 洋子

欧州在住、フリーランスのライター兼ジャーナリスト。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2012年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
eu
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ