エスカレータは歩く?歩かない?
普段から何気なく使っている、エスカレータ。いつも不思議に思っていたのが片側を歩く人のために空けるのがマナーの様に定着している様ですが、最近は「歩かないでください」と言う注意書きを見かけるようになりました。
私は"歩かない派"なのです(歩くなら最初から階段を使います)が、この「歩かないで下さい」はホントにごく最近見かける様になった気がして、気になっていたので少し調べて見ました。
元々、エスカレータの標準的な勾配は30度で公共の階段よりも急で、ステップの高さや奥行きも大きいのでつまずきやすく、またステップの幅も1.1メートル以下で、1.4メートル以上とされる公共の階段よりも狭く、追い越しは想定していないそうです。
日本エレベータ協会でも、「1つのステップに乗れるのを2人までとし、利用者が必ず手すりにつかまれる構造にする」と定めている様です。
ではなぜ、元々歩く前提で作られていないにも関わらず、片側を空けると言う習慣が定着したのかが、疑問になります。また、"片側"も、地域によって"右空け"、"左空け"が分かれます。
大阪、神戸など近畿地区では、"左空け"。 東京やその他の地区では、"右空け"です。
日本以外では、欧米や中国、韓国では"左空け"。 オーストラリア、シンガポール、ニュージーランドでは"右空け"の様です。
そもそも、片側を空けると言う習慣が始まった起源は、英国で第二次世界大戦中に混雑緩和を目的に考案され普及したそうです。
日本では、1967年に阪急電鉄の梅田駅が移転し、エスカレーターが長くなった際に、急ぐ人のために「片側空け」を呼び掛けたのが最初だと言うことです。さらに1970年に開催した大阪万博で「動く歩道」が導入された時に、英国式の"左空け"が取り入れられて、大阪では"左空け"が定着した経緯があるそうです(これが日本の起源)。
しかしなぜか、日本ではこの"左空け"が全国的に定着はせずに、"右空け"が主流になると言う逆転現象が起こりました。これは「自動車の左側通行にならって普及したからではないか」と言う説もあるらしいですが、不思議な感じです。
このような経緯を見てみると、元々設計上は歩かない前提なのに、安全性よりも、利便性・効率性を優先したことで、歩くことが定着してしまい、今更歩行禁止を呼びかけるのはかなり難しいのではないかと感じます。
エスカレータの構造や、仕組み(そのそも歩行しても安全な仕様にするか、歩く用、歩かない用に分けるなど)の見直しが必要な気がしますが、現実的にここまで普及しているものを変えるのはそう簡単ではないのでしょう。
私は、"歩かない派"なので、いつの日か「エスカレータは歩かないもの」と言う習慣が定着することを期待しています。最近は高齢化も進んでいますので、今後エスカレータ事故も増加すると予想されるため早く歩かないマナーが主になるといいなぁと思っています。
まあ、そもそも元気な人は、健康のためにも極力階段を使うように心掛けたいですね。