オルタナティブ・ブログ > 杜の都より >

読めばベタに分かる、タイトルどおりのブログ

ブランドの刷り込み

»

業界トップの企業、というのは、やはりその企業力がものを言う宣伝広告量や商品ラインナップの豊富さ等により実際の購入対象者へのPRが十二分にもなされているように思うのですが、ブランド(今回は特にVIやCIという意味でこの言葉を使わせてもらいます)の醸成にあたって、案外無視できないのは「子供への刷り込み」なのでは無いか、と以前から漠然と思っていたのですが、ここのところ確信を持てる事象が二件程あったのでご紹介させていただきます。

1.マクドナルドの例

もう二ヶ月程前の話になるのですが、うちの息子(5歳・次から年長組)の行っている幼稚園で年に一度の研究発表会みたいなものが実施されました。まぁ基本的に子供達が1年の幼稚園生活において取り組んできた、テーマを持った工作、もしくは自分で作りたい、と思った工作を一同に介して展示している、というものなのですが。

年少、年中、年長とそれぞれ取り組む内容は違っていて、やはり年長が一番大掛かりなものを作っています。
今回の年長組が作っていたのはちょっとおもしろくて、それぞれ(全部で4組)が、お店屋さんを作っていました。花屋、魚屋、ケーキ屋、ハンバーガー屋の4店舗です。もちろんそのアイデア出しは先生からでしょうし、制作にあたっても先生のお手伝いあってこそか、と思います。

ホールにテーマを持った工作を集合展示、それぞれの教室には個人の作品を展示、という形を取っているのですが、今回の集合展示はお店屋さん、ということで、年長組はさらに凝った趣向で、教室の前にも各人に作らせた集合展示の「お店」へ誘導するべく「看板」制作がしてありました。

で、この画像がハンバーガー屋の組の看板です。。。

↓(個人名欄は念のため黒く塗りつぶさせてもらいました)

どうでしょうか、ほとんどの子供がマクドナルドのポテトを想像させる”赤”の紙箱(他もあったかもしれませんが)かつ、赤丸を付けたものは具体的に”M”が書かれています。

5~6歳の子供に自由に描かせて、30名中(きちんと”M”まで書いているのだけを見ても)6名が正確にそのブランドを特定できる状態になっている。。。これってスゴイ、と感じた訳です。

実際問題から言えば、幼稚園帰りとかに親に連れられていっているからだけなのかもしれません。事実、この幼稚園から程近い所に駅があり、その駅前にはマクドナルドがあります。でも、その他にもモスバーガーもあれば、フレッシュネスバーガーもあります。でも”赤”の紙箱が表現されているのが多いことを見ても、子供達にとって、ハンバーガー屋さんにポテトがあり、そのポテトはきっとマクドナルドのそれ、なのです。

子供の頃からこの状態だった、としたら、「悪いイメージ」を持たれることはまず無いはずです。

2.トヨタの例

自分の息子の話で恐縮なのですが、自分の息子、あまり車に興味を持っていません。
ミニカーとかを与えたらそれはそれで遊ぶのですが、だからと言って、おもちゃ屋さんの前を通った時にミニカーを見た所で「欲しい」なんてことを全く言いません。自分の幼少の頃とは全く正反対です(苦笑)。

それでも、自分の勤め先のロゴを街で見かけた時、「あ、パパの会社」とは言ってくれます。別に「いいかい、これがパパの会社のロゴだからね、これだけは覚えるように!」と強制したつもりは無いのですが、やはり社員証にも書かれていて家で見慣れているから、と、過去二度程、会社の任意厚生団体が企画した、「うちの会社で遊びましょう」的な祭に参加したことがきっかけで覚えたようです(→○○会の皆様、ある意味狙いは当たりましたよ!)

でも、車を見かけて、しつこいくらい、「あ!あれ・・・」というのはトヨタの車です。
(これでおわかりかもしれませんが、自分はトヨタ社員ではありません)

彼に言わせると、トヨタの、

この楕円が3つ組み合わさっているマークは、”牛”さんで、だからユニークでおもしろいからすぐ覚えたんだそうな。

・・・”牛”?そんなこと考えたことも無かったな。でも、そう言われてみればそう見えないことも無い。。。

で、自動車、と言えばトヨタなんだそうだ。

あんまりしつこく言うので、
「ねぇ、なんでトヨタはそんなに覚えれたの?」
と聞いてみたら、
「だって、”トヨタ”って言葉が覚えやすいんだよ。3文字で短いし、ひらがな表でもすぐ見つけられるし・・・」
「じゃあ、パパの会社は?」
「パパの会社は別の意味になっているから難しいんだよ」
「別の意味って?」
「○○って言葉で別の意味があるでしょ?それに文字を付け足さなきゃいけないからよくわかんなくなるんだよ」

・・・言われてみれば、”ト”、”ヨ”、”タ”のそれぞれア行とオ行なので、ひらがな表で比較的わかり易い位置にある、言葉としても短いから言い易い、”トヨ”で切っても”ヨタ”で切っても子供がわかるような別の意味にはならないので、言葉が独立して受け止めることができる。。。

そんなそんな考え方、したことも無かったな。。。

かくして、まんまとトヨタはうちの息子にブランド名の刷り込みに完全に成功したのでした。
(決して、トヨタさんの全く謀ったものでは無い領域ばかりでですが。。。)

実際問題、ミニカー、として売られているものでもトヨタ車、圧倒的に多いです。ネッツ店のジオラマ(とはミニカーの場合は言わないか)まであるし。こういった地道な布教活動をきちんとやれている、ということが、今のトヨタを作れているのだ、と感じています。

以上、非常に些細な例ですが、幼稚園児から見たブランド、って書いてあるのを記事で見たこと無かったので書いてみました。

追伸:ちなみに、前述の集合展示の店舗において、自分が一番気に入ったのは魚屋さんでした。
   新聞紙等で作られた魚のもっともらしさ加減もしかり、店員さん用のエプロン・鉢巻きまで
   用意する力の入れよう(?)
   トヨタを連呼するうちの息子と共にご紹介しておきましょう。
   (魚の部分があまり写っていないのが残念な所ですが)

このページは xfy Blog Editor を利用して作成されました。

Comment(0)