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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

この言葉、あまりにもしっくり来るので定着させたいです

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ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。

バリュープロポジションという言葉をご存知でしょうか?

一昔前に『100円のコーラを1000円で売る方法』という本がベストセラーになりました。その本の中心テーマです。

しばらく投稿されていませんが、オルタナティブ・ブロガーの永井孝尚さんのご著書ですね。私はこちらはもちろん、続編(②)も買って、いろいろと勉強させていだきました。

ただ永井さんには申し訳ないのですが、バリュープロポジションという言葉は、マーケティングやビジネス戦略関係者の一部では、「手垢のついた言葉」と捉えられていたりもします。

その状況を憂い、バリュープロポジションに新しい光を当てようとする40歳前後のコンサルタントさんが2人いまして、彼らの共著の制作をお手伝いしているのでした。

さて彼らによると「Value Proposition」という言葉の初出は、P&G出身でマッキンゼーにいたM.ラニング氏らが書いた"A business is a value delivery system"(1988年)という小論文らしいです。

McKinsey Staff Paper June 1988 No. 41 "A BUSINESS IS A VALUE DELIVERY SYSTEM"

今回は、バリュープロポジションのお話ではなく、その中に出てくるある言葉がとても気にいってしまったので、ご紹介したいと思いました。できれば定着させたいなと思う言葉なのですが、私ではちょっと力不足です。インフルエンサーがいたらいいなあぐらいの気持ちで書いています(ご支援中の本が売れたら定着すると思うのですけれども)。

で本題に入りますと、上の小論文の5ページ目の先頭にこんな文章があります。2023032701.jpg

ChatGPTさん(Bingのチャットのほうですが)に訳していただきました。

会社のあらゆる活動で選択されたバリュープロポジションを反響させる(ビジネスシステムの各要素が、ターゲット顧客グループに選択された価値を提供または伝えるのにどのように役立つか?)

(ちなみにGoogle翻訳さんの日本語訳は、「選択した価値提案を企業のあらゆる活動に反映させる (ビジネス システムの各要素は、選択した価値をターゲットの顧客グループに提供または伝達するのにどのように役立つでしょうか?)」でした)

「会社のあらゆる活動で」は「会社のあらゆる活動に」のほうがいいように思われますが、それでもChatGPTってすごいですね!

で、この中の「Echoing」(以下、エコーイング)という言葉を私はとてつもなく気に入ってしまったのです。

AIたちは「反響させる」とか「反映させる」とか訳していますが、筆者が日本人ならたぶん「共有させる」と書くところでしょう。日本語としてはそれでいいのかもしれませんが、私はどうも「共有させる」という言葉に「上意下達」を感じるのです。企画部とかそんな部署が考えた案を経営者がオーソライズし、管理職や一般職員に守らせるというイメージが「(社内)共有」という言葉に漂っている気がするのです。

だから「社内共有」は何となくうまくいかない――私はそう思うのです。

一方でエコーイングという言葉には、もちろん経営サイドの働きかけがあるのでしょうけれど、もうちょっと主体性に訴えかける感じがあるんですね。「(真剣に訴えるから)響いてよ!」という想いが見えるんです。さらに言えば、「私(経営者)が言うことを現場でも言ってみてよ」と願う気持ちも感じられます。

要するに想いや気持ちがあるのが「エコーイング」、ではないかと感じて、社内共有よりもずっと良い言葉だなあと思ったのでした。この言葉が私が考えるように理解されるようになれば、日本企業が苦手とする社内共有が、もっとすんなりできるようになるのではないでしょうか。

まあ、私の言語感覚なので賛同できない(それこそ「響かない」)人もたくさんいるかと思います。ひとまずはニュアンスだけでも伝わればと祈る次第です。


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