要するに「データの示唆」と「役員の勘と経験」のどちらが優先されるかという話なんです
ITに強いビジネスライター森川ミユキです。
最近の取材ではDXよりデータドリブンというテーマが増えています。
DXもままならない会社が多い中、ある程度進んでいる会社は、データドリブンマーケティングとかデータドリブン経営といった、企業の最上流工程もデータに基づいて進めていこうとし始めています。
し始めているのはいいのですが、うちはデータドリブン経営をしているなんて胸を張って言える会社がどれだけあるのでしょうか?
私は知りません。あるんですかね?
もしかしたらスタートアップ企業やベンチャー企業には、本当にデータドリブン経営をしている会社もあるのかもしれません(いや、あると思います。大企業と同じことをしていたら勝てませんもの)。あるならぜひ取材させていただきたいと思います。
データドリブンとは、念のため説明しておきますと、今までKKD(勘と経験と度胸)で意思決定していたのを、勘と経験を排してデータ分析の示唆に基づいて意思決定しましょうということです。何に基づこうと意思決定には度胸は必要ですね。
当時データドリブンという言葉はなかったように思いますが、そもそもERPは、データに基づいて意思決定するために考え出されたツールでした。しかし、少なくとも日本では、ERP=基幹業務パッケージという位置づけになってしまい、その目的で使われることはありませんでした。
それがVUCA時代となり、勘も経験も役に立たなくなってしまい、改めてデータドリブンが注目されている――といったことのようなのです。
注目されてはいるのですが、なかなか実現しません。なぜでしょうか?
いろいろな理由が考えられます。デジタル利活用がまだ未成熟という技術的な理由もあるでしょう。
しかしDXも同じですが、IT化、デジタル化が進まない原因は、だいたい人間くさいところにあります。というか、そもそも邪魔するのは人間以外にいないではないですか。
データドリブンが進まない原因は、だいたい役員さんとか部長さんとか、地位も経験も実績も功績もある人たちにあります。
そもそも勘と経験が役に立たないからデータ分析を導入したわけです。ということは、データ分析が示唆することは、勘と経験では説明がつかないものになることが多いはずです。
しかしその示唆に基づいて企画を上げたとしたら?
地位も経験も実績も功績もある人たちには理解不能な企画になるでしょう。当然反対されます。企画を通したければ、地位も経験も実績も功績もある人たちに忖度したマイルドな企画にせざるを得ません。あるいは、たまたまデータ分析の示唆がその人たちが賛成してくれそうなものだったときだけ企画を上げることになります。
そんなのデータドリブン経営とは言えませんよね?
地位も経験も実績も功績もある人たちがデータに望むことは、自分たちがやりたい意思決定が正しいことを示唆してほしいだけなんです。
このマインドが変わるか、これらの人々が一人残らずいなくなるまではデータドリブン経営は実現しないことでしょう――では困るので、どうか一人でも多くの経営者にこの記事を読んで欲しいなあと願います。
最新のIT動向やITのビジネスへの応用について、経営者などビジネスパーソンに分かりやすく伝えることができるライターです。経営レベルでのIT活用について書ける数少ないライターの一人とお客様から評価されています。
最近注力しているテーマは、下記の通りです。
- データ活用(データドリブン、DX等)
※JDLA Deep Learning for GENERAL 2019#2取得しました - マーケティング全般(ブランディング含む)
特にビジネス戦略やデジタルマーケティングに関しては、ポーター、コトラーはもちろん最新のビジネス理論(デザイン思考、ジョブ理論等)やIT導入・運用方法論(アジャイル開発、DevOps、MLOps等)を含めた深いコミュニケーションが可能です。
クラウド、データ活用基盤などITインフラ関連も得意としています。
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