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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

「ビジネスの本質がわかっていればAIに仕事を奪われるなんてことは考えなくてよい」と思ったりします

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ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。

BingのAIチャットボットで遊んでいたら、ある日突然質問回数の制限が6回になって、「ん? 何? 何かあったの???」と驚きました。

その後、すぐ「ああ、シドニーの件ね」と気づきましたが、こんな手があったかw(それにしても質問回数の制限、しかも6回とは、苦し紛れすぎる対応ですね)。でも、またいろいろとかいくぐるハッカーが現れることでしょう。私の懸念はまだ晴れていない模様です。

とはいえ、BingのAIチャットボットは普通に使っていてもなかなか楽しいホビーなので、こんなことでサービス停止にならないよう祈っています(私は懸念を表明しているだけで、それが実現してほしいとはまったく思っていないのです)。

そんなことよりも、「BingのAIチャットボット」に愛称を付けてほしいです。早く付けてくれないと「シドニー」って呼ぶぞ!

さてシドニー(呼んじゃったw)やChatGPT(以下、これらのことを「AIチャット」と呼びます)を見て、ものすごい夢を見てしまう人もいれば、「これはやっぱりAIに仕事を奪われるよね」と怖がっている人もいるようです。しかも名立たるAIの研究家たちがどちら方面でも煽るものですから、私たちのような素人は右往左往してしまいます。

AIの研究家としては、ポジティブ方面であろうがネガティブ方面であろうが、騒がれることで注目され研究予算も増えますから、煽るのもお仕事のうちと私は思います。だからそんなことを批判する気持ちはないですし、むしろどんどん騒いでほしいなと思います(それがAIの進歩につながりますし、ついでに私のお仕事も増えるかもしれませんので)。

とはいえ、本気でAIに仕事が奪われるのではとビビっている人もいるかもしれないと思うと、安心するようなことを書く者が少しはいてもいいのではないかと思った次第です。

たとえば私と同業のライターさんで、AIチャットの素晴らしい文章力にビビっている人がいるらしいです(私は見たことがないですが)。でもライターのお仕事って文章力を発揮することでしょうか? それがライターのお仕事であるなら、私などとうに依頼がなくなっているはずですが。

じゃあ専門性とか? でも専門性も、世界中のWeb情報にアクセスできるAIチャットに適わないのでは?

世界中のWeb情報にアクセスなら私でも、AIチャットほど素早くはないにせよできないこともありません。しかしWeb情報にアクセスできればいいのなら、何で取材なんてことをするのでしょうか。そう、世の中Webに書いていないことのほうが多いんです(たぶん)。

私が考えるに、ライターの仕事の本質は「人間の営みを理解して、それを文章に表現すること」なんですね。

私の場合はITとかDX推進とかマーケティングとかがテーマであることが多いのですが、それに関わっている人に取材して書くわけで、そこに人間の営みへの理解が必要になります。また書くテーマがロボットや動物だったとしても、読者を意識して書くわけで、そこに読者理解という「人間の営みへの理解」がどうしても必要になってきます。どこかで必ず人間が関わってくるわけです。

ライターだけではないと思うんです。私は、<人間の営みを理解して、それを○○すること>というテンプレートであらゆる職業の本質が表現できるのではないかと考えます。

たとえば営業なら、<人間の営みを理解して、それを売上に変えること>。

ITエンジニアなら、<人間の営みを理解して、それを情報システムに変えること>。

ファッションデザイナーなら、<人間の営みを理解して、それを洋服として表現すること>。

まあ、こじつけっぽくなる職業もあるかもしれませんが、ほとんどの職業が当てはまるのではないかと思います。

そして、今のところではありますが、「人間の営み」を理解できるAIは存在しません。いっけん理解しているように見えますが、理解しているのではなく、統計的に処理しているだけです。

ということなので、今のところAIに職業を奪われるという心配は無用と考えます。

奪われるのであれば、人間の営みの理解が不要な職業か(私には例が出せません)、必要なのに理解していない人の仕事が奪われるのではないでしょうか。

※とはいえ生成型AIってやっぱりビビりますよね。GANが発表されたのが2014年なので、生成型AIの歴史はまだ10年経っていないのですが、その進歩ぶりはちょっと気持ち悪いと私も思います。でも取材をしていて思うのは、「AIチャットより人間のほうが奥深いな」ということです。


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