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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

私は「リスキリング」という言葉が気持ち悪いです(附:効果的なリスキリングの方法)

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ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。

リスキリングという言葉が何となく定着しようとしています。

企業がDXとかデジタル化に取り組もうとする際には、人材不足という問題が発生します。そこで社員をデジタル人材として再教育(再訓練)しましょう――だいたいこういう場面で使われる言葉です。というか、これ以外、私は知りませんけど。

社員をデジタル人材として再教育すること自体に何の文句もありません。むしろ是非とも取り組むべきことだと思っています。

でも「リスキリング」という言葉って、何となく違和感ありませんか?

違和感どころか私は気持ち悪いです。

なぜなら「スキリング」なんて言葉、これまで聞いたことがなかったのに、ある日突然「リ」スキリングですよ。

「ターゲティング」という言葉を知っていたから、「リターゲティング」と言われても落ち着いて聞けたわけです。いきなり「リスキリング」などと言われても「ナンそれ!?」と言うしかありません。

では英語にskillingという単語はあるのでしょうか? 調べたらありました。訓練するとか理解するといった意味を持つskillという動詞があるんですね。その現在分詞もしくは動名詞ですから、訓練とか理解と言った意味になります。だからリスキリングは再訓練ということです。

なら再訓練でいいじゃないの。何でカタカナなの? まあこういう気持ち悪さがあるんですね。

ところで、朝早くに目が覚めちゃって、寝床の横に本棚があるんですが、マーケティングの本が目にとまりました。眠気覚ましにパラパラめくって斜め読みしたんですが、マーケティングってmarketに-ingがついた言葉じゃないのとふと思ったわけです。

ということは、marketという動詞があるってこと?

早速調べたところ、「市場で取引する、売買する」という訳語があるんですね。ということは、マーケティングって取引とか売買ってこと?

そうなんですね。基本は日常語なのです。もちろん日本で使われている「市場戦略」とか「市場適合」といった意味合いでも使います。ただ英語ネイティブの頭の中では、日常語なわけです。

しかし日本ではカタカナになると、何となくありがたみが増すという決まりがあるので、「マーケティング」と言うと何となく高尚だったり難解だったりって感じになるわけです。

リスキリングもこれと同じことで、「再訓練」などというと、コンサルティング・ビジネスにならないわけですね。何となくありがたみがなくなるし、デジタルとの関連も薄れてしまいます。

そういう心根がちょっと気持ち悪いんだと、先ほど腹落ちしたので書きました。

とはいえ、社員をデジタル人材として再教育するのは、最初のほうで書いたようにいいことだと思います。それが広まるのに「リスキリング」という言葉が一役買っているのなら、気持ちは悪いけれど、それもまた良しとも思ったりします。

多くの人にはどうでもいい話だったと思うので、ちょっとお役に立つことも書いておきますね。

デジタル人材へのリスキリングですが、ITや統計の素養がある人(そもそもこんな人がいないからリスキリングなのですけど)を集めるよりも、問題意識や熱意のある人を対象にしましょう(実際、Excelが使えれば十分なようです)。そしてこの人たちをデータ分析部門に異動して、いきなり仕事をさせちゃうというのが効果的です。実際にそうしている会社に取材して知りました。

現場のリアルな課題を吸い上げて、それをテーマにデータ分析させて、施策を考えさせ、その実行結果をまた分析する――このような環境を作ってあげないとなかなか分析力はつきません。逆にこうすることでものすごく早く成長します。

ただこれから人材を育成しようという会社では、そもそもこのような環境を用意することも難しいでしょう。その際には、デジタル人材の育成を「伴走支援」してくれる会社があるので、そこに支援を依頼しましょう。そういう会社なら環境も作ってくれるはずです。

研修しかやらないような会社はダメですよ。実際のデータでPDCAを回せる環境を用意してくれて、その後は一緒にテーマを考え、一緒に分析をし、一緒に施策を考え、一緒に検証し、一緒に施策の修正をしてくれる会社を探すことです。


最新のIT動向やITのビジネスへの応用について、経営者などビジネスパーソンに分かりやすく伝えることができるライターです。経営レベルでのIT活用について書ける数少ないライターの一人とお客様から評価されています。

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特にデジタルマーケティングに関しては、新旧のマーケティング理論はもちろん、周辺ビジネス理論(デザイン思考、ジョブ理論等)やIT導入・運用方法論(プロトタイピング、アジャイル開発、DevOps等)を含めた深いコミュニケーションが可能です。

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