BtoB企業のWebマーケティングは遅れているらしいですが、遅れているといっても2つのレベルがあるようです
ITとマーケティングに強いビジネスライター森川ミユキです。
「デジタルとマーケティングに強い」というタグラインにしていたのですが、それだと「デジマに強い」みたいな感じですよね。それも強いんですけれど、営業企画部にいたことがあったので、ちゃんとコトラーのマーケティング、つまり基礎から勉強しているのです。ということで「ITとマーケティング」にすることにしました。
さて一昨年の暮れぐらいから今年の春ぐらいまでにかけて、マーケティング本の制作支援を立て続けに6本やりました。そのうちの2冊が「BtoB企業向けのWebマーケティング本」だったのでした。
それまでBtoB企業向けのWebマーケティング本って、どうもなかったらしいんですね。もしかしたらお取引のある出版社の勘違いかもしれませんが、企画趣旨説明ではそう伺いました。
シンフォニーマーケティングの庭山一郎さんの『BtoBマーケティング偏差値UP』という名著がありますが、これも奥付を見ますと第1版第1刷が2020年8月となっています。そもそもBtoBマーケティングの本自体が少ないのかもしれません。
その数少ないBtoB企業向けのマーケティング本を2冊お手伝いしてわかったことは、どちらも日本のBtoB企業のWebマーケティングは遅れていると主張しているということでした。その分伸びしろが大きいから取り組んだもの勝ちだという主旨も共通していたのですが、ただ遅れ方という意味については、もう全く違っていたのです。
どうも日本のBtoB企業のWebマーケティングの遅れ方には2つのレベルがあるようなのです。
1冊目の本では、MAとかWeb接客とか言う以前にホームページ(コーポレートサイト)が役割を果たしていないというのですね。何をしている会社なのかさえわからない会社が多い、中には誰でも知っている有名なブランドを持っているのにそれが載っていないサイトまであると言うのです。
もちろんそのブランドのサイトはあるんですよ。しかしそのブランドを持っている会社のホームページにそのブランドのことが一切書かれていないのです。そんなことあるかと私も思ったのですが、そんな会社が何社もあるんです。
それを改善して、ランディングページをしっかり作るだけでも売上がかなり違ってくるのだそうです。確かに伸びしろがすごそうですね。
2冊目の本は、もう少しレベルの高い企業が対象で、MAツールを導入したことがあるが、結局活用されていない企業向けの本です。こちらの主張は、なぜMAツールや(厳密にはマーケティングツールではありませんが)SFAツール、あるいはCRMツールを使いこなせていないかと言えば、それはBtoBマーケティングについての理解が不足しているからだ、と言うんですね。
その理由は単純でして、日本企業では長らく(という言うか今も)営業部門がマーケティングを担っています。私がいた営業企画部というのも1つのミッションとしてマーケティングを担当しておりました。でも、今思い出しましたが、2003年頃の話なんですが、IT企業にマーケティング部門ができ始めた頃で、手探りでいろいろやってました。で、営業部門に怒られてましたね(^_^;)
そんな感じで、マーケティングも営業部門がやるという伝統が日本企業にはあるわけで、そうするとインサイドセールスを軽視するというか、「そんなの営業じゃなねえ」みたいな風潮があるんですよね。
MAツールなんてものは、代表的なインサイドセールスのためのソリューションですから、日本企業でそんなものが有効活用されるはずもありません。一部の外資系企業を除けば、日本のBtoB企業のほとんどが、MAなど使いこなせていないのは、使う理由がないからなのです。
ところがそんなツールを使いこなしている欧米企業の日本駐在員とかがこんなことを言うんです。「日本のメーカーの製品は確かに品質はいいけど負ける気がしない。だってあいつらマーケティングを知らないんだもん。ワハハ」
まあ日本に来ている外国人ビジネスパーソンのみんながみんなこんな失礼なやつばかりではないと思いますが、本当にあった話だそうです。取材時に伺いました。
ということで2冊目のターゲットは1冊目より明らかにマーケティングにおいてはレベルの高い会社で、1割もない会社だと思います。ですが、まあツールが使いこなせないという意味では似たり寄ったりではあります。
ただいずれにしても真実としてはWebマーケティングなどできなくても多くのBtoB企業は成り立ってきたわけで、いまさらWebマーケティングなど導入しなくても何とかなるように思います。ただWebマーケティングに対して腰が引けているとしたらそれはもったいない話で、どちらのレベルも大したことはなく、ちょっと御社の優秀な社員に勉強の時間を与えれば(まあ半月~1カ月ぐらい?)、実現できる程度の話でもあります。
それでいて伸びしろはものすごいわけでしてやらない手はないと思うのですが、私がこのように書いたからって始める企業はほとんどないのも承知しています。私だってずいぶん生きてきましたからね。世の中には人の言うことを素直に聞くと、自分が負けたかのように思う人が大半だなんてことをよーく知っております。もったいない話ですね。
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