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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

データサイエンス系の取材は文字起こしすればほぼ終わるのに、経営者やマーケターへの取材ではそうはいかないことから考えたこと

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デジタルとマーケティングに強いビジネスライター森川ミユキです。

お得意様にデータ分析の会社があり、最近はそこのトップコンサルタントに取材することが多くなりました。

以前はデータサイエンティストへの取材がほとんどだったのですが、その頃は楽でした。いつも1時間~1時間半取材するのですが、データサイエンティストはあまりしゃべらないので、だいたい5,000文字~6,000文字ぐらいでまとめられたのです。

ところがコンサルタントはマシンガントークなので、同じ時間で8,000文字~12,000文字ぐらいの記事になります。基本契約は取材回数×単価なので、泣きそうなデフレです(笑)。

そういうことなので、取材相手のコンサルタントの方々が「あんなとりとめのない話を上手にまとめてくれてありがとうございます」ととても気遣ってくれます。しかし文字数が多い分、時間はかかるのですが、実はそれほど大変ではないのです。

なぜなら文字起こしして、不要な言葉を省けば、ほぼ記事になってしまうからです。

これはデータサイエンティストも同じです。データサイエンス系の記事は、文字起こしをして不要な部分を省き、あとはリードと見出しをつけて、最後に推敲すればできあがりです。

もちろんいちおうプロのお仕事ですので楽ではありませんが、当の取材相手が思うほど大変ではありません

一方で、書籍制作の支援(ぶっちゃけゴーストライティングです)もさせていただいています。こちらは個人事業や中小企業の経営者に取材することが多いです。あと最近増えているのがマーケターの方々。マーケティングが得意みたいなことを標榜していたら、昨年から今年にかけて立て続けに6冊、マーケティングとブランディングの本をお手伝いすることになりました。

経営者もマーケターも、取材したものをまとめるのが大変です。文字起こしすればほぼ終わりなどということはまずありません

もちろん5,000文字~1万文字程度の取材記事と、7万文字以上におよぶ書籍との違いもあります。しかしそれだけではない大きな違いがあることに最近気がつきました。

データサイエンス系の人たちの仕事は、調査内容や分析結果を論理的に説明して意思決定者を納得させ、施策を実行させることにあります。これに関してはデータサイエンティストもコンサルタントも変わりありません。もちろんいつまでも成果が出ないと切られますが、結果責任を伴うものではありません。背中を押すのが役目です。

要するにデータサイエンス系の人たちは論理性が命なので、何となく雑談をしているように見える場合でも、ロジックの芯があってそこから大きく逸脱しないのです。だから文字起こしをすればほぼ終わってしまうわけなのです。

一方、経営者もマーケターも結果が命。逆に結果オーライなので論理性は二の次です。というより論理で結果が出るならそんな楽なことはありません。成果が出るまで試行錯誤を続ける諦めない気持ちのほうがずっと重要なのです。要は論理より行動ですね。

このような方々のお話を文字起こししただけでは記事にも本にもなりません。それなりに経営やマーケティングがわかっているライターが、後付けで論理を補う必要があるのです。そうしないと読者は目を白黒させることになります。

もちろんライターの勝手な考えを書くわけにはいきません。それこそ創作になってしまうので、取材時には少しでも疑問を残さないように質問するように心がけますし、まとめるときもあそこで言っていたことをここに入れれば伝わるなといった編集作業をやり続けることになります。

ここで疑問が発生します。論理(だけ)では経営もマーケティングも成果が出ないなら、なぜデータサイエンスが必要なのでしょうか。

それはVUCA時代と言われる昨今、勘と経験の価値が暴落し、データしか頼れるものがなくなったからです。もちろんデータ分析したら100%成功する施策が出てくるわけではありません。しかし勘と経験ではもはや3割に満たない成功率が、データによって6割になるのなら(このあたりは私の感覚的な数値です)多少のコストは掛かっても、ずっとお得だと、まあそういうことなんだろうと思います。

ちなみに株でも経営でも麻雀でも、6割の成功確率があることをブレずにずっと続ければ最後は勝てるそうです。バフェットさんなんか、そんな感じでやっているような気がします。


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