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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

意外と銀行から「維新」が起こるのではないかと私が考える理由~たった3回の取材ですが驚いたもので

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デジタルとマーケティングに強いビジネスライター森川ミユキです。肩書き(タグライン)をちょっと変えてみました。

銀行ってお堅いというイメージがありますよね? 金融業界全体が規制でガチガチで、そのせいか対応も人間味に欠ける気がしたりもします。

家計用に使っている私名義の銀行口座があります。管理しているのは伴侶さんです。オンラインで扱えるようにしたかったのですが、暗証番号を入れ間違えてロックしてしまったんです。窓口に名義人が来ないと対応できないというので、生まれて初めて女性装で銀行の窓口に行きました。2020年11月のことです。そのときは、こんな格好で行ったら追い出されるのでは?とマジで思ったものでした。

もちろんそんなことはなかったですし、対応も若干お役所的ですが、人間味に欠けるということもありませんでした。ですけれど、そのぐらい銀行は堅いというイメージがあったんです。私だけかしら?

私が銀行の方を取材したのは、都合3回です。全部データ活用関連でした。

1回目は2017年でした。その頃はまだ男性の格好でお仕事をしていました。あるメガバンクと通信会社が共同で設立したスマホでのサービス提供を中心とする銀行にお話を伺いに行ったのです。

銀行と言うよりテック企業みたいな会社で、取材相手もカジュアルな格好でした。当時は、「おお、こんな銀行も出てきたんだな」ぐらいの感想でした。

次は、昨年の3月でした。こちらは信託銀行で、銀行業務に特化したAIを作成するツールを開発し、社内ユースしていたのですが、評判が良かったので、クラウド化して外販するといった取り組みについてお話を伺いました。

前回のスマホ銀行も担当者は若かったのですが、こちらも30代半ばぐらいまでの若い方が4名(プロパー2人と関連会社で外販を担当する会社の社員およびクラウド化を担当したテック会社の社長)、取材に応じてくださいました。

このときは久しぶりの対面取材でした。お仕事を依頼してくださった代理店の担当者さんに、「あの~、女性の格好で行っても大丈夫でしょうか?」と恐る恐る伺ったら、「大丈夫ですよ。ただパンツルックのスーツでお願いできるでしょうか?」と言われて、ニッセンでスーツを買いました。

3月末の快晴の日で、桜が満開だったのを覚えています。暑い日でしたが、汗だくだったのはそのせいだけではなかったかと思います。女性装での対面取材はこれが初めてだったのです。それが寄りによって銀行とは・・・

このときに感じたのです。今どきの銀行業界の若い人たちは志が高いんだなあと。取材するまで知らなかったのですが、信託銀行って都会にしかないんですね。地方で信託銀行と同じような役割を果たしているのは地銀なんだそうです。

だから自分たちのシステムを地銀に売っていきたいんだと。それが地方活性化に繋がり、さらに日本全体の活性化に繋がればいいなあと、まあこのようなことをおっしゃるんですね。

私も来年は還暦ですから、さすがに若い人が本気で言っているのかどうかなんかわかります(本当か?)。本気でした。

取材時間が長かったので途中で休憩があったのですが、そのときにやさしく話しかけてくださったので、そう思っただけかもしれません。でも、なんか日本はまだまだ捨てたもんじゃないと思いましたよ。

このときにもう1つ感じたのは、銀行の危機感は半端ないということでした。今のままだと世の中から不要な存在になる、ぐらいの危機感です。資本主義社会から銀行がなくなることはないと思うのですが、では生き残るのが今の銀行かといえばそうではないかもしれないといった危機感なんです。

だから若手がやりたいということを、50代以上のベテランがしっかり支えようとしているんですね。いやあ、銀行のイメージ、大きく変わりました。

そして3回目は、つい先日でした。金融機関とベンダーが集まって、金融業界が持っているデータを利活用しようという団体を立ち上げたのですが、そこの理事さんにお話を伺ったのです。この人もたぶん30代ですが、銀行では社長直轄の企画部門で重要な役割を担っているのだそうです。

この人も熱く語るんですよ。「草莽の志士として、日本に新たな維新を起こしたいのだ」と。黒船はコロナ禍による強制的なデジタル社会の到来だと言うんですね。

すごいな、若い人の危機意識。私はちょっと感動しました。

ちなみにこれも対面取材でした。銀行関係は対面でないとダメなんでしょうか? 私と言えば、すっかり汗などかかなくなりましたが。

銀行が変わることは、日本が変わるためのものすごく大きな原動力になるのではないでしょうか。金融庁は要らぬ規制を外すことで、後押ししてほしいですね。


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