あまりわざとらしくない売り込み方
ITに強いビジネスライターの森川滋之です。
主にIT企業のホワイトペーパーやWeb記事、IT企業経営者がブランディング目的で出版する書籍制作支援等をやっています。
いずれにしろ最終的には販促目的なのですが、コピーライターと違うのは、ITソリューションや導入プロジェクト・ノウハウの解説がコンテンツのメインになることです。
こういうコンテンツを作るノウハウがネットにはあまりないようですので、しばらく書いてみようかと思いました。読者対象としては、IT企業のマーケター、セールスおよび予算に責任を持つがゆえに販促について知りたいITエンジニアの方々となります。
● 「売り込み」はしたくないが「アピール」はしたい
多くの場合、ホワイトペーパーや技術解説記事の目的は、ある技術に関心がある人を集めることであり、製品やソリューションを売り込むことではありません。したがって個人情報が取れて、あわよくばメルマガに登録してもらえれば十分なわけです。マーケティング・オートメーションの用語でいえばリード・ジェネレーションが目的です。
そういう目的ですから、まだ信頼関係のない相手が対象となるわけで、もちろん売り込みをしてはいけません。いきなり売り込まれて喜ぶ人はほとんどいません。
ただ、できれば問い合わせはしてほしいので、さりげなく製品やソリューションをアピールしてほしいと言われることはよくあります。
こういうニーズに対して、わざとらしく褒めなければいいと考える人が多いようです。
あるいは競合製品を並べて、客観的にメリット・デメリットを書き、自社製品が優れていることをアピールするという方法を取る人もいます。
こういうのは第三者が書いてくれればまだいいのですが、自社のコンテンツとしてはふさわしくありません。それに最近では第三者が書いても、ステマと感じる人が増えているので、あまり有効とは言えません。
では、どうしたらいいのでしょうか。
● 選択基準を示す
売り込みが嫌なのはなぜでしょうか?
それは、自分で選びたいからです。もっといえば納得して買いたいからです。
では、お客様が一番困っていることはなんでしょう?
それは、たくさんある似たような製品の中から選ぶことです。
要するに選ぶのが大変なのに、自分で選びたいのです。
選ぶのに困る理由はどうやって選択したらいいかを知らないからですので、大切なことは「選択基準を示す」ことです。
その製品を採用した人は、何に困っていて、それをどんな機能や取り組みで解決したかを示すのです。
複数の事例から以上のことを抽出して、選択基準として一般化します。今度はその選択基準が浮き彫りになるように(この辺はライティングの技術となりますが)事例を並べていきます。
こうすることによって、読者の脳裏には選択基準が刻み込まれますから、あとはその選択基準が製品の標準機能(カスタマイズでなければオプションでも構いません)として盛り込まれていることを紹介すればいいわけです。
問い合わせを促したいのであれば、「●●●●をぜひ選択肢の1つに加えてください」ぐらいの書き方がいいと思います。