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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

認知言語学とAI

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こういうのはAI研究者から見たらどうなんでしょう? パターン認識や言語解析を専門にやっている方に一度お尋ねしたいです。


ITに強いビジネスライターの森川滋之です。取材や調査で得た知見を、差し障りのある固有名詞は匿した上でお伝えしています。

言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学 』(西村義樹・野矢茂樹著、中公新書)という本を読んでいます。実に興味深いことがたくさん書かれています。

その中でAIと関係がありそうな話を見つけました。

「第3回 プロトタイプと百科事典的意味論」という章で、カテゴリーに分けるというのはどういうことかという議論がされています。

ご存知のように現在AIがやっていることは、基本的にはカテゴライズです。あの松尾豊先生も『人工知能は人間を超えるか 』の中で、

いまディープラーニングで起こりつつあることは、「世界の特徴量を見つけ特徴表現を学習する」こと(P203)

と言っています。まさにカテゴライズです(それでなぜ囲碁に強くなるのかは、僕にはちょっとうまく説明できませんがw)。

なので「カテゴリーに分ける」というのは、AI研究者や技術者にとっては最大関心事の1つではないでしょうか。

このことについて、『言語学の教室』では、おおよそ次のように議論されています。

まずプロトタイプという代表例でカテゴリーを把握する。その後、周辺的なものにまで広げていく。

たとえば、鳥を教えるときに、最初からペンギンとかダチョウを指して「これが鳥だよ」と子供に教える人はあまりいませんよね? スズメだとかツバメだとか、そういう典型的と思われるものを指し示して教えます。

その後、ニワトリとかペンギンとかダチョウとか応用例みたいなのを教えていく。

こういう順番でカテゴリーを認知していくのだということです。

で、僕が知りたいのは、「Googleの猫」なんかはこういう学習の仕方をしたのかどうかということなのです。

どうも文献を読んでいる限りでは、「Youtubeを見せていたら覚えた」(Googleオフィシャルブログ)みたいなことが書いてあるので、こういう学習の仕方はしていないと思われます。

そうだとしても、それで認知できるようになるのだからいいじゃないかと言う人が大半かもしれません。

ただ、今後「人間的な」汎用AIを目指していくのであれば、こういった「人間的な学習の仕方」というのは参考になるのではないでしょうか。

まあ「認知言語学」(いちおうWikipediaにリンクしましたが、なんだかよく分からないでしょう。『言語学の教室』を読むことをお勧めします)という学問はまだ新しい学問で、文学部在籍者でも知らない人のほうが多いと思います。

AI学者だと言語解析を専門にやっている人なら知っているのかもしれません。

理系の人は文系の学問をバカにする傾向があるように感じますが、哲学・心理学・言語学などはAI研究者には必須の学問のように思います(僕が知らないだけで、そんなの当然ということならごめんなさい)。

一方、文系の人もこれからは統計学やプログラミングなどは必須でしょう。

文系とか理系とか言っている時代では、本当になくなったと感じます。


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◆立ち読みはこちらで → http://s-morikawa.jp/etc/galley.pdf
 97ページ分(全体の44%)読めますので、お暇ならどうぞ。
 ただ電車で読むのはお勧めできません。


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