コンサルがアジャイル化している
ITに強いビジネスライターの森川滋之です。
2月から3月にかけて、データとアナリティクスということで10個ぐらいの組織のコンサルタントやデータアナリスト、データエンジニアに取材しました。
バズワードは、ビッグデータとAI(機械学習、ディープラーニング)でした。
みなさん共通していたのは、AIについては、いわゆる「強いAI」はまだ夢のまた夢で、「弱いAI」に関してもPOC(概念実証)レベルがほとんど。業界でいえば、製造業のほうが金融業より進んでいる感じ。2017年もこの状況は続きそうとのこと。
しかし来年は分かりません。10年後はもっと分からない。「強いAI」も現実的なものになっているかもしれません。
一方でビッグデータの活用は進んでいます。こちらもAIの活用はこれからですが、Hadoopベースのデータエンジニアリング環境が急速に整備されており、データサイエンティスト向けのワークベンチもいい製品が出てきています。
あとはBIとビッグデータ活用の垣根がなくなってきている感じがします。DWHだけでなくデータレイク(非構造データの貯蔵庫)も処理できるBIツールが既に出てきています。
● システムコンサルティングが大きく変わりつつある
こういった技術的な動向の中で、システムコンサルティングに求められることが大きく変化してきている気がします。
従来のシステムコンサルティングは、現状(As-Is)のアプリケーションマップや業務フローをまず作成し、次にあるべき姿(To-Be)を検討して、そのギャップを埋めるためのロードマップを作成するというものでした。
要するに、美しい将来像を提言し、それに至るための課題と解決策をレポートするもので、アプリケーション実装経験等のITスキルがなくても可能なものでした。期間も3ヵ月から半年ぐらいかけて構いませんでした。
ところが、現在のコンサルティングは変わりつつあります。
データに基づいて新しいビジネスモデルを作り、それを実現するためのアプリケーションを構築して、小さな成果でいいのでとにかく3ヵ月ぐらいで成果を出すことが求められています。そうしないと、次の予算がつかないのだそうです。
従来の施策作りのためのコンサルティングではなく、FACT(データ)に基づき実際に成果を出すコンサルティングが求められる時代になりつつあるということのようです。
● コンサルティングのアジャイル手法とは?
こういうコンサルティングを実際にやっている人たちは、従来のコンサルティングはウォーターフォールで、自分たちのコンサルティングはアジャイルだと言います。
従来のコンサルティングは、As-Isの調査→To-Beの策定→ギャップ分析→ロードマップの作成(※この後の実装はSIerまたはコンサルファームのSE部隊が実施)という流れであり、確かに前工程と後工程を入れ替えることは困難です。
では、アジャイル型のコンサルティングはどのように実施するのでしょうか?
ユースケースの提示→クライアントが興味をもったユースケースの分析→適用(※既に実装されたアプリケーションがあるので、それを改造して活用)という流れになります。
ユースケースとは一般的には事例のことですが、彼らの保有しているユースケースは、過去のコンサルティング・ワークショップの内容、データモデル、アプリケーションなどを全て含んでいます。
つまり、事例というよりはテンプレートに近いものであり、これを新規クライアント向けに適用しなおせばいいだけ(※)なので、3ヵ月ぐらいの短い期間で実際のビジネス成果が出るのだといいます。
※著作権等の知的財産権については、契約段階で双方に所属することを明記するそうです。また当然ですが、クライアントのデータの持ち出しはしません。
● 業務運用は当然DevOps
コンサルティングがアジャイルなら、業務運用も当然ながらDevOps型になります。小さく早く作って、改良版や追加機能を週に1回ぐらいの頻度でリリースするというスピード感が求められるからです。
したがって、ワークベンチにも本番環境へのデプロイを安全かつ自動的に行う機能が必須とのこと。
日本ではアジャイルやDevOpsがなぜ定着しないのかというテーマの記事を今でもよく見かけますが、数年で様相が一変すると考えています。成果の出ないIT投資をし続けたい企業をイメージできませんから。
実際に、アジャイル型のコンサルティングを実施している会社の仕事は増えていて、どこも人が足りないと悲鳴を上げていました。
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97ページ分(全体の44%)読めますので、お暇ならどうぞ。
ただ電車で読むのはお勧めできません。
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