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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

今あなたが30歳なら、還暦に間に合うかもしれない。(#167)

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素直であることを求めても、素直でないことに腹を立てないほうがよい。なぜなら、素直であるのはとても難しいことだから。

●解説

前回、共感について書きました。

「共感」もけっこう難しいのですが、さらに難しいのは、今日のテーマである「素直さ」です。

素直であるのは、本当に難しい。

人に求めるのはいいでしょう。しかし、素直でないと腹を立てるのは、あなたが相手の師匠でもない限りは慎むべきです(と言うより、そんな怒りはムダです)。

また、自分の意見を素直に聞き入れてほしいなどというのは、もはや求めすぎです。

せいぜい求められるのは、自分の言うことをまっすぐそのまま受け取ってほしい、ぐらいでしょうか?

それでも、聞き入れてもらえるのは、稀なことであり、そんなことがあったら、有り難きことと感謝すべきでしょう。

●私の経験

私は先週末の「にこにこ おじん」さんのコメントのおかげでいろいろな体験ができました。

「このコメントをビジネスに活かすには、どうしたらいいかご意見をいただきたい」とメルマガに書きました。

この問いかけに対する答えはなく、私に同情する人と、私に注意を促す人のどちらかしかいませんでした。

私のお願いなど誰も聞いてはいないという体験を、まずしました。私に好意がある人もない人も、素直に聞き入れてはくれませんでした。

その後、メルマガでいただいた意見を参考に、「この週末に考えてみました」という記事にまとめ、メルマガにも同じような内容を書きました。

私がにこにこ おじんさんのコメントに対して、感情的には何もない旨を何度も書いているのに、「さぞ、プライドが傷ついたでしょう」なんて、メールがありました。

さらに当の本人から「結果として、大分 不愉快な思いをさせてしまい、恐縮です」というコメントまでいただきました。

誰も私の書いたことなど読んでおらず、自分がそうされたらどう思うかということしか頭にないのでは?と考えざるを得ない体験をしたわけです。これは、鮮烈に私の心に残りました。

たいへんな勉強になりましたが、正直

  どうしたら、世の人は、私の書いたことをそのまま素直に受け取ってくれるのだろう?

と悩みもしました。

その悩みは、意外なところで解決されました。

以前にも書きましたが、私は毎朝寝起きに以下の言葉を百回唱えています。

素直な心で衆知を集め、自修自得で事の本質を究め、日に新たな生成発展の道を求めよう。(松下政経塾・塾訓)

なぜこんなことを始めたかというと・・・。

「これ(塾訓)を君、百ぺん毎日唱えや。それで、一息たったらわかる」(松下幸之助『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』より)と書いてありました。

素直にやってみたところ、何も分かりませんでした。

ならば一生続けてやろうと、意地になってやっていることです。

悩んでいると、答えが返ってくることもあるのですね。唱えているうちに、松下幸之助さんの別の言葉を思い出しました。

●松下幸之助の言葉

 そういう素直な心でものを見るという訓練はどのようにしてやるかというと、まず心で念じないといかんわけや。(中略)「きょうも一日素直な心でものを見るように、素直な心で行動するようにいたします。そのようにいたしたい」と誓うわけやな。
 そして三十年やったら、素直の初段になる。素直な心の初段になれば、ものを見てもだいたいその実相がわかる。

(松下幸之助 前掲書より)

素直になりたいと三十年毎日念じつづけて、ようやく「素直の初段」になれると、松下幸之助さんが言っているのです。

自分の書いたものを素直に読んでくれない、などという嘆きはいかに意味のないことか。

素直になろうと日々念じている人など、いったいどれだけいるというのでしょうか?世の中には、素直の入門者さえほとんどいないということなのです。

私自身は、30年後の喜寿のときの楽しみに、「素直な心で衆知を集め・・・」という文言をずっと唱えていきたいと思っています。 

 

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