毎日書けるのはなぜか?~あるいはネタ帳をつくらない理由(一日一言 #79)
「偶然のチャンス」に向けて準備をしておかなければならない。
●解説
セレンディピティなどと言い出すと、脳科学かぶれと思われるでしょうか?
セレンディピティというのは、ふとした偶然を新しい発見・発明につなげる能力です。
たとえば、日本が誇るノーベル化学賞受賞者の田中耕一さん。彼の発見は、たまたま試薬の配合を間違えた結果でした。
白川英樹さんも同様で、実験の失敗でプラスティックを焦がしてしまったら、そこから受賞につながる発見がありました。
このような大発見は、偶然をものにできるだけの才能とその才能を担保する努力があってこそ。このような才能とそれを支える努力をセレンディピティと言います。
ここまでの大発見でなくても、よくこういう話を聞きませんか?
「本当に偶然なんだけど、まさに神様がオレのために用意してくれたような気がした。だって、たまたま、××をしようと○○をしていたばかりだったから」
本来ほかのことへの準備だったのに、もっとすごいチャンスがやってきたので、その準備を流用したら大成功したという話です。
こういうのもセレンディピティです。
偶然のチャンスをつかむには、普段からヒト・モノ・カネのような経営資源を備えておくと同時に、情報収集をしていたり、それに関して勉強していたりする必要があります。
チャンスが来てから、準備するのでは遅すぎます。
要するに、普段からお勉強しておきましょうということです。
●裏解説
実を言うとこの記事は、「毎日続けている人の秘密~習慣化は誰にでもできる」という記事を先日書いたのですが、それへの自分ツッコミです。
前掲記事で私は、「私にとっては、このブログを毎日書くというのは、単なる決め事に過ぎません」などと書いています。
当然こういう反論があると思っていたのです。「毎日書くと決めたって、ネタがなければ書けないだろう!」
ところが、誰も突っ込んでくれないので、自分でつっこむことにしました。
よくあるのはネタ帳をつくることですが、私はつくっていません。
以前はつくっていたのですが、これが実は役立たない。なにしろ引っ張り出してきても、何が書きたかったのかさっぱり分からないのです。
実を言うと、過去のネタ帳をまだ捨てていません。どうしてもネタが出てこないというときにときどき見るのですが、やっぱり役に立ちません。
では、どうしているか?
セレンディピティに賭けます。
とりあえずテレビをつけます。それから本棚からなんとなくピンときた本を取り出します。
本をパラパラ見ながら、テレビを聞き流します。
すると数十分もしないうちに、なんとなく気になるキーワードが飛び込んできます。
これが偶然のチャンスです。
今日飛び込んできたワードが、あまりにも出来すぎなのですが、「セレンディピティ」でした!
ところで、数十分の間にものになるキーワードを拾うためには、キーワードを膨らませられるだけの材料が豊富にないと難しいわけです。
なので、私は、普段からあまり目的もなく本を読み、テレビを見、ネット検索をしています(雑誌はあまり読みません。雑誌を読むときはどちらかといえば目的指向で読みます)。
この目的のない情報収集が、セレンディピティのための大切な準備なのです。
言い方を変えると、ネタがないというのは言い訳で、ネタは数十分も探せば必ず見つかるぐらい、ゴロゴロ転がっています。ただ、偶然飛び込んできたキーワードをネタにするためには、普段の準備が必要なのです。
私は、ネタ帳からネタを拾うよりも、セレンディピティに賭けるほうがライブ感のある面白い記事になると思っています。
締切に圧倒的に強くなるというメリットもありますし。
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自分軸をつくるのも、ある意味セレンディピティの勝負という面があります。
キーワードがひらめかないと、自分軸を作っても意味がないのですが、ぴったりくるキーワードを見つけるためには、普段からの情報収集や勉強が、やはり大切です。
ここで大事なのは、セレンディピティを生むのは、一見目標や目的のない勉強だということです。
アウトプット指向のインプットが必要なのは言うまでもありません。これも実は、脳科学的根拠があるようですし、そもそもこれがなければビジネスも勉強も実になりません。
ただ、目的指向のインプットだけでは、セレンディピティは生まれません。一見遊びにも見える、ある種余裕がないとできないインプットも必要なのです。
Googleなどの会社からは次々と面白い企画が生まれてきますが、金儲けに関係ないことを考える(つまりアウトプットする)だけでなく、ビジネスに関係ないインプット(勉強)も奨励されているのではないかと思っています。