慕われるリーダーになるには?~リーダーになれる人の本当の理由(一日一言 #72)
リーダーの仕事は、日々イノベーション。
●解説
ドラッガーは、『マネジメント』の中でイノベーションの重要性を強調しています。
イノベーションというのは、新しい製品を開発することももちろん含まれますが、それだけではありません。
たとえば、従来の製品の見せ方を変えて、顧客の新しい欲求を喚起していくことも立派なイノベーションです。
私が、自分軸(「誰に」「何を」「なぜ」提供するのか)を見直すことを常々言うのは、顧客ターゲットや提供価値を見直すことそのものもそうだし、事業の理由付けを見直して新しい物語を創出することも有効なイノベーションだからです。
また、流通経路を変えるのもイノベーションですし、組織の中の役割分担を見直すこともイノベーションになります。
ありとあらゆる改良をして、組織の実績を高めていくことが、イノベーションなのです。
リーダーの仕事は、イノベーションを通じて、組織の実績を上げ続けることであり、これこそがリーダーシップの本質です。
それなのに、多くのリーダーが人間力という曖昧な言葉に逃げてしまいがちです。
これは断言できますが、実績が上がっているからこそ、部下はリーダーをリーダーと認めます。
仮に、月20件訪問しないやつはダメだと叱る営業リーダーがいるとします。
この場合に、月20件訪問したら一定の成果が出るのであれば、部下はリーダーをリーダーと認めることでしょう。20件訪問したら、売上が上がるしくみをリーダーが作っているからです(これも立派なイノベーションです)。
しかし、20件回っても成果が出ない人が大半であれば、部下はリーダーをリーダーとは認めないでしょう。何の考えもなしに押し付けているだけだからです。
やり方は、叱るでも誉めるでもいいのです。肝心なのは、リーダーの考えた方法で成果が出るのか出ないのかの一点にかかっています。
そして、成果を出そうと思ったら、リーダーはイノベーションをし続けるしかないのです。
●裏解説
拙著『奇跡の営業所』は、333営業塾塾長吉見範一さんの実話に基づくビジネス物語です。
彼は、以前マイラインのシェア奪還のために全国100ヵ所に作られた営業所のそのうちの一つの所長を担当したことがあります。
営業マンは、ほとんどが素人。シェアの奪還営業は、ベテランでも難しい仕事です。
また、雇われ所長だったので、体制やツールを変更する権限もありませんでした(これは、内緒で破るのですが、そのうちにばれて本部からにらまれることになります)。
さらに、吉見さん自身もずっと一匹狼の営業マンだったので、マネージャ経験がありませんでした。
このような悪条件ばかりだったのに、半年後には2位に倍以上の差をつけるダントツのトップの営業所になりました。
吉見さん自身の人柄が良かったこともあるし、営業スキルの高さもありました。
しかし、書いていた頃には気づかなかったのですが、それだけではありませんでした。
ドラッガーの『マネジメント』を読んで分かったのは、吉見さんは日々イノベーションを続けていたのです。
たとえば、営業マンの役割を売り込みにいくことではなく、顧客に聞きにいくことと定義しなおしました。
売り込むにはスキルが必要ですが、聞くだけならば、スクリプトさえ用意すれば、誰にでもできます。また、行きづらい新規先ではなく、既存客にまずは行かせるということもできます。
このような工夫(イノベーション)を次から次へと実施し、小さな成功体験を積ませながら、あるときからはドカンとシェアを獲る。こういうやり方をしたわけです。
人間力もあったけれど、それだけではダメ。まずは成果を出すことにこそリーダーはこだわるべきなのです。
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