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モノづくりのイノベーション 〜デジタルファブリケーション、パーソナルファブリケーションからソーシャルファブリケーションへ〜

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 先日、ご紹介したFablab(モノづくりのイノベーション 〜実験的な市民工房 Fablab〜)に関連してモノづくりのトレンドについて少し考えてみたいと思います。  前回のおさらいになりますが、「Fab」には「Fabrication(ものづくり)」と「Fabulous(素晴らしい)」という2つの意味が込められているとのこと。 

 そして「Fab」は、3Dプリンターをはじめ様々な工作機械がパーソナルコンピューターとつながり、個人があらゆるものをつくることができる状況を表した言葉で、その文脈に応じて「デジタルファブリケーション」「パーソナルファブリケーション」と置き換えられているようです。代表を務める「あしたのコミュニティーラボ」の仲間との議論で以下のように理解しています。

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まず、「デジタルファブリケーション」は(関連記事はこちら)、
レーザーカッターやCNCマシン、3Dプリンタなどのコンピュータと接続されたデジタル工作機械によって、3DCGなどのデジタルデータを木材、アクリルなどのさまざまな素材から切り出し、成型する技術のこと。主に「デジタルファブリケーション技術」という文脈で用いられる。
一方、「パーソナルファブリケーション」は(関連記事はこちら)、
コンピュータやネットワークを取り入れた、個人によるものづくりを指す。デジタルファブリケーションが主に技術を指すのに対して、こちらは「ひとりで」「誰でも」といった文脈で語られるときに用いられる。
ようです。
 この「Fabrication(ものづくり)」の概念は、時代とともに大きく変化してきているように思えます。
 まず、意識しておきたいのは、その対象が単に3Dプリンターやレーザーカッターだけではなく、先日ご紹介した子供用ビジュアルプログラミング環境「Scratch」など、目に見えないソフトウエアやサービスに関するモノづくりもその対象になるのではないかということです(ここはみなさんのご意見をお伺いしたいところ)。
 そして、もう1つ気にしておきたいのがパーソナルファブリケーションから派生した「ソーシャルファブリケーション」という新しい流れ。
 ソーシャルファブリケーションとは、慶応義塾大学環境情報学部准教授でファブラボ鎌倉(FabLab Kamakura)を主宰する田中浩也さんや渡辺ゆうかさんたちが提唱している新しい考え方。未だ明確な定義が確立されていないが、パソコンからインターネットへというICTの進展から必然的に生まれてきた、新しいムーブメント(関連記事はこちら)。
インターネットでつながることによって人のつながりがものづくりに展開し、価値が他者へもたらされることを指す。「DIY(Do It Yourself)」ならず「DIWO(Do It with Others)」の精神の延長と考えられる。また、その実践例として、新興国での利活用やFabLab Kamakuraでのコミュニティーでのさまざまな実践が挙げられる。

 ソーシャルメディアの普及によって人々の間でSHARE(シェア)が当たり前のようになった今日、「ソーシャルファブリケーション」という流れはもはや必然といえるのではないでしょうか。ソーシャルファブリケーションの特徴には、SHARE(シェア)に加え 、スクラップ&ビルドが可能なこともあげられます。
 ファブラボの基本的理念は、Fab Charter(ファブラボ憲章)として共有されていますが、「ファブラボとは何か?」という議論は時代の変化に合わせ、常に続けられており、今後の展開が期待されます。
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