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リスクをとれというけれど......「行き当たりばったり」と「リスクマネジメント」

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こんにちは、竹内義晴です。

先週の金曜日、ある大手企業の本部長を対象に、世代間ギャップに関する講演とワークショップを行わせていただきました。

講演前に、取締役の方とランチをご一緒したのですが、「いい意味でまじめな社員が多い」「言ったことはきちんとやるが、自発的な行動が少ない」「やりたいことを聞いても、特にない社員も多いようだ」といった話を伺いました。

人によっては、前向きで、自発的で、行動的な人もいるとは思いますが、多くの人は、それほど積極的ではない......というか、明確にやりたいことがある人のほうが、ひょっとしたら少ないのかもしれません。

そのような社員を、もう少し活動的に育てたい......そんな話を伺いました。

その1つの方法として、越境学習を提案しました。

画一的な環境から離れて「価値観の揺らぎ」をつくる

越境学習とは、普段いる環境(ホーム)から離れて、普段とは異なる環境(アウェイ)に身を置くことで、価値観が揺さぶられたり、普段の環境ではなかなか気づかないことに気づきます。あるいは、普段関わらない人たちと関わることによって、混乱したり、苦しい思いをすることによって、リフレクション(内省)を促す学習です。

越境学習について、ボクは以前、@IT自分戦略研究所で連載している『仕事が「つまんない」ままでいいの』の記事、「ワーケーションしたらクリエイティブになれるの?」で、次のように書きました。

「価値観の揺らぎ」によって起こる「気付き」「発見」「学び」のことを「越境学習」と言います。「越境学習」とは、普段の環境(つまり、会社)の枠を超えて、異なる環境を行ったり来たりすることによって得られる学びです。

越境学習の場を用意するにあたり、わたしの意見では、「越境の幅が大きいほど(価値観の振れ幅が大きいほど)、学びが大きい」と考えています。そこで、以前、アウトドアの専門家と作った越境学習のプログラムがあります。

このプログラムは、オフィスのような、すべてが整った環境とは異なり、自然という、環境変化が人間の予測できる範囲だけではなく、時にはリスクが含まれる環境で、いかに対応していくか......という内容です。

「リスクをとれ」というけれど......

コロナ禍や少子高齢化をはじめ、多くの課題がある近年は、VUCAな時代と言われています。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったもので、一言でいえば「予測不可能な社会」ということです。

このような、正解のない社会の中では、ある種のリスクをとって仕事をしていく、人生を歩んでいく必要があります。そこに、価値観の揺らぎがあり、普段の、会社の中では得られない発見があります。

会社という、安定した環境にいる社員の方々にとっては、「本来、安定している環境はないのだ」「本当の安定とは、変化し続けることなのだ」ということに気づくかもしれません。

しかし、「リスクをとれ」とはいうものの、具体的には、どうすればいいのかよくわからない......というのが、一般解なのではないかと思います。状況によって、臨機応変に対応することが、リスクをとることなのかもしれませんが、その対応は、どちらかといえば「行き当たりばったり」です。

でも、「リスクマネジメント」という言葉があるように、本来は、行き当たりばったりではなく、なんらかのリスクのとりかたがあるはずで、予測不可能な社会だからこそ、そういった「リスクのとり方」は、学んでおいた方がいいのかもしれません。

10/24に、リスクマネジメントがご専門の、静岡大学の村越真先生と、日本で唯一のアウトドア専門学校である国際自然環境専門学校の小野彰太先生をお招きし、『リスクマネジメントと越境学習――認知心理学にみる「不確実な社会への対応」』というオンラインイベントを行います。

本イベントは、リスクマネジメントの観点から、予測不可能なビジネス環境における「歩み方」が理解できます。ビジネスの現場では決して得られない学びが得られる貴重な機会になるはずです。リスクマネジメントにご関心があれば、ぜひ、ご参加ください。

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