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ここまでやってきたのに、もったいない――「よかれと思って」も、言わないやさしさもあるのかも

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こんにちは、竹内義晴です。

「せっかくここまでやってきたのに、もったいない」

飲食店の店主がお店をやめるとき、知り合いが仕事を離れるとき、あるいは、スポーツなどいままで努力を重ねてきたことにいったん区切りをつけるときなど、「せっかくここまでやってきたのに、もったいない」といった言葉を使うことがあります。

もちろん、それは相手を思ってのことだし、その努力や価値を認めてのことだし、「こんなところであきらめちゃだめだよ」なんて、励ましの意味もあるけれど、この「もったいない」という言葉は、案外、残酷な言葉なのかもしれません。

飲食店の店主も、仕事を辞める知り合いも、引退するスポーツ選手も、「できれば、このまま続けたい」と、本人がもっとも思っているはず。「体が動くなら、そりゃあ、ずっと続けたかったよ」「定年じゃなければ、ずっとこのまま働きたかったよ」「結果が出れば、ずっと現役でいたかったよ」......みたいな。

でも、それが叶わなかったから、「やめる」「現役を離れる」という選択を、しぶしぶしたんじゃないかな? と。

一方で、外野はそんなことを知らないものだから、つい、よかれと思って、「せっかくここまでやってきたのに、もったいない」なんて、軽い気持ちで言ってしまいがちだな、と。

「もったいない」と、もっとも思っているのは、本人のはず。それならば、「もったいない」とあえて言わないのが、やさしさなのかもしれません。

じゃあ、どんな言葉を掛けたらいいのだろう? おそらく、やめるという決断に至るまでには、ずいぶん悩んだと思う。それならば、「ずいぶんと悩まれたんでしょうね」「いままで、大変でしたね」といったねぎらいの言葉や、「新たな道を歩まれるのですね」といった言葉がいいのかもしれません。

ボクの実家(というか、住まいですね)は、代々糀屋を営んできました。でも、2年前かな。糀屋を廃業しました。ほんとはね、うまく継げればよかったんですけど、なかなかそれが叶いませんでした。「もったいないなかったなぁ」と、今も思いますけどね。

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