「地元で就職したいと思っている学生は、半数以下」の現実に、地方にいながら考えたこと
しごとのみらいの竹内義晴です。
先日、地元の小学校の6年生に講演をする機会がありました。話す前は「小学生だから、地元が好きなのかな」と想像していたのですが、冒頭で「地元が好きな人」と聞いたら、手を挙げてくれたのは半数ぐらいで、「地元で働きたい人」という質問をしたら、手を挙げたのは数人でした。「まだ、親元が恋しい小学生でも、これが実体なのかー」と、軽くショックを受けました。
「地元で就職したいと思っている学生は、半数以下」なのだそうです。
ITmediaビジネス #SHIFT の「地元で就職したい」学生の減少止まらず ついに半数以下にによれば、
2020年卒業予定の大学生の地元就職希望率(卒業した高校の所在地と最も働きたい都道府県の一致率)は49.8%(前年比1.0ポイント減)。調査開始(12年卒)以来、初めて5割を下回った。
のだそうです。地元就職希望率が最も高い地域は、関東で94.8%(関東が地元の人もいますもんね)、最も低い地域は、四国で43.9%としています。
学生が地元就職を希望しない理由としては、
「都会の方が便利だから」(38.3%)。次いで「志望する企業がないから」(38.1%)、「実家に住みたくないから」(29.0%)、「地域にとらわれず働きたいから」(24.6%)だった。
といいます。
「地元よりも都市部で就職したい」――この気持ち、とてもよく分かる気がします。確かに、都会の方が便利だし、特に若い時は都市部の刺激も受けてみたいですしね。
また、地元で仕事を探しても、都市部に比べると魅力的な仕事は少ないかもしれないし、若い時なら「実家に住みたくない」というのもあるでしょう。親元を離れて、自由に生活したいですよね。
地方にいると感じる「このままではヤバい」
でも、地方にいる身としては、「このまま、人が都市部に出てしまうとヤバい」と言う危機感もあって。あと15年後を想像すると、若い世代はほとんどいなくなり、世帯数も減る現実。
地元で働く人が増えるといいけれど、でも、都市部も魅力的。さて、どうすればいいのかな?
解決策について、ITmediaの記事では、
「学生は大手企業の待遇にひかれて、関東や関西などの都市部に集中しているのではないか。地元での就職については、いずれの地域でも給料や待遇面を心配する声が上がっている」
としています。
確かに、給与や待遇は都市部の企業のほうがいいですよね。就職活動をしているときは、実際に掛かるお金よりも、もらうお金のほうに意識が向きます。また、福利厚生がいいほうが魅力的でしょう。
一方で、実際の生活は、収入と支出のバランスで決まります。額面だけ見れば、都市部の企業のほうがいいのでしょうが、それと同等の条件を地方の企業が出すのは、それもなかなかしんどいのかも?と思います。
また、就職の志望動機は給与だけということもないので、一概に、地方企業の給与や待遇面がよくなれば、地元に就職するのかな?とも思います。
やっぱり、地方で働くのは難しいのかな?
都市部で働きたい人を引き留めるつもりはない。だけど......
「都市部で働きたい」と願っている人を、無理に引き留めるつもりはまったくありません。働きたい場所で働いたほうが楽しいし、都市部の経験も大切ですしね。親元を離れて生計を立てる経験も大切ですし。
でも、少しでも、「いつかは地元に戻りたいな」と思っているなら、その気持ちを大切にしてほしいし、あきらめないでほしいと思っています。
今までの働き方では、「都会か、地元か」という選択肢しかありませんでした。地方に戻るとしたら、一度、都市部の生活を捨てるしかなかった。でも、「地元に就職先があるか」「地元になじめるか」を考えると、なかなか地元に戻ることはできませんでした。
でも私は、これからの多様な選択肢に期待したいと思っています。
私は、新潟を地方在住で、東京の会社で複業&リモートワークしていますが、やりたい仕事をしながら、地元で生活しています。働きたい場所で働ける会社が増えるといいなと思っています。
また、日経新聞の東京圏人材、地方副業に支援金 政府、地銀などと連携の記事にもあるように、いきなり移住ではなく、都市部での経験を地方で活かす試みもはじまりつつあります。このような取り組みが進むと、都市部で働く人が地方の企業に関われるようになります。
こういった、「地方にいながら、都市部の仕事をする」「都市部にいながら、地元に関わる」取り組みが、もっと進むといいなーと思っています。人口減で採用が難しくなりつつあるこれからの時代、「多様jな働き方」の環境を整えるのは、企業にとってもメリットがあるんじゃないでしょうか。
なお、こういった働き方をするためには、業務スキルや周囲からの信頼も必要です。もし、「いつか、地元で働きたいな」と少しでも思っているなら、その気持ちを大切にしつつ、環境が整ったときにいつでも動けるように準備しておくことも大切かなと思います。
少なからずボクは、地元で働く人間として、楽しく働く姿を見せていきたいし、都市部のビジネスパーソンが地方で複業できる仕組みづくりに興味があるので、都市部と地方をつなぐ役割を担いたいです。