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「クラウドソーシングは単価が安くて生活できない。どうする?」の質問にモヤモヤしたのでまとめてみた

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昨日、長野市でテレワークながの主催の「テレワークで新しい働き方をしよう!」というセミナーに登壇した。

テレワークとは、いわゆる、tele(離れたところで)+work(はたらく)という意味で、主にITを使って、働く場所に制限されずにはたらくことを言う。

「ITを使って、働く場所に制限されずに」という意味では、いまからはじまった話ではなく、以前から行われているように思う。

私は中山間地に住んでおり、「仕事をする」という意味では決して恵まれた環境ではない。そのため、独立したときから、インターネットを主な活動の場にしてきた。そういう意味では、テレワークは10年以上のキャリアになる。

もっとも、近年言われるテレワークは、「企業に属しながら在宅ワークをする」というニュアンスのほうが強いように思う。それについては、今、サイボウズで複業しながら、リモートワークを行っている。

というわけで、これまでの経験を元に、テレワークに必要なことや、クラウドソーシング、企業と在宅ワークなどについてお話させていただいた。登壇者はボクを含めて2名。

講演後、登壇者と司会者との間で、参加者から質問を受けながら、パネルディスカッションを行ったのだが、ある参加者から本質を突いた質問が出た。

その質問に上手く答えることができず、なんとなくモヤモヤした状態だったので、ここに改めて整理し、まとめておきたい。

参加者の質問は、以下のようなものだった。

「テレワークはいいけれど、ランサーズやクラウドワークスのようなサービスは単価が安くて生活できない。それならば、バイトのほうがいいのでは?と思ってしまう。そのことについてどう考えるか?」

繰り返しになるが、「本質をついた質問だな」と思った。

質問者には、どのような背景があるのか分からない。なんとなく「なにか、事情もあるのかな?」と思って、背景を聴くのはやめておいた。想像するに、これから子供が生まれてくるのだけれど、周囲からのバックアップがあまり得られず、なんらかの事情で質問者がはたらく必要があるのではないかと想像した。

また、今、会社に勤めているのかもわからないが、言葉の前後から、なんとなく「どこかの企業に勤めている(あるいは、いた)が、子育てのために会社を辞めなければならない」みたいな状況をイメージした。

ちがいっていたらごめんなさい。けれども、その前提で話を進めてみたい。

まず、理想論を最初に述べれば、企業が社員の雇用を守ることが大切なのではないかと思う。育休を使ったり、企業が在宅ワークできる環境を整えたりしていくことが大切なように思う。そのような環境があれば、働く女性が安心して子育てができる。

でも、育休を取るのが難しい、あるいは、在宅ワークの環境が整っていない場合もあるだろう。というより、多くの企業では、まだ、在宅ワークの環境が整っていないだろう。そもそも、在宅ワークが難しい業種、業態もあるし。

そのために、質問者は会社をやめて、クラウドソーシングを使って仕事をしようと検討しているのかもしれない。「クラウドソーシングは単価が安い」ということを知っているということは、過去に何かしらの行動を起こしたがあるのだろう。

「クラウドソーシングのようなサービスは単価が安くて生活できない。それならば、バイトの方がいいのでは?」という指摘もよくわかる。たしかに、このようなサービスを使って仕事をしても、子育てをしながら毎月の生活費を捻出するのは、スキルを持っていても、相当ハードルが高いのが事実だろう。相応のスキルがない場合なら、ほぼ無理だろう。

テレワークは、働き方の選択肢の一つであって、「子供を育てながらはたらく」のすべてをカバーできるものではない。もし、まわりに支援してくれる人が少しでもいるなら、一人でがんばろうとせずに、まわりに支援を求めてほしいし、それでも難しいなら、行政などの窓口に相談することも、大切なことだと思う。

だからといって、「クラウドソーシングの単価が安い仕事が一概に悪いのか」......というと、そうでもないのではないかと、個人的には思っている。

これらのサービスの案件を見ると、1文字1円にも満たないライティングの仕事など、たしかに首をかしげたくなるものも多々ある。

けれども、経験が浅い人にとっては、経験値を積む上で、仕事から離れていた不安感を払しょくする上で、社会とのつながりを作る上で、「最初の一歩」になる場合もありうる。単価が安い案件がこれだけあるということは、それらが果たしている一定の役割もあるのではないか。

だからといって、「労働対価に見合わない仕事をとにかくやって、経験を積めばなんとかなる」というアドバイスも、無責任のように感じる。特に、切羽詰まっている人にとっては。「ジリ貧フリーランサー」を増やしたいわけではないし。

でも、経験値やスキルがなければ、単価が高い仕事ができない事実もあるだろう。

それでも、何らかの事情で「仕事に出かけることができない」「フルタイムで働けない」「でも、経験値も少ない」という場合も、現実にはあると思う。

では、どうすればいいのか。

「はたらき方」以前に、別の支援が必要だと思う。(繰り返しになるが)まずは、まわりの人や行政をはじめとした相談窓口に支援を求めてみてはどうだろうか。

一方で――これは、ややきびしい言い方になってしまうかもしれないけれども――まわりの人との関係や、お金を作っていくことも含めて、自分の、あるいは、子供の「これからをどう生きるか」ということも、改めて考えてみては?とも思うのだ。

「自立とは、周囲に依存することだ」みたいな話を聞いたことがある。子育て(だけではないですね。介護とか、いろんな状況も同じ)しながら、一人で生計を立てていくのは、なかなか難しい側面が事実としてある。

それでも、いろんなものを駆使しつつ、未来を見据えて「何とかしていこう」という気持ちで過ごしていくしかないんじゃないかなーと思う。

「そんな気持ち、当然持っているよ」とおっしゃるかもしれないけれども。

もし、「その気持ちすら持てない」場合は、相当疲れている状況だと思うので、まずは、ゆっくり寝て、ごはんをちゃんと食べて、まわりの人に助けを求めてください。

ボクにも、仕事がしたくでも、なかなか仕事につながらず、喰えない時代があったので、「この先、どうしよう......」という不安は分かります。ましてや、子育てもあればなおさらですよね。

それでも、ボクらは、行くしかありません。

タイトルは「まとめてみた」なのに、だらだら書いたので、結局、うまくまとまらなかったけれど、それでも、ボクが抱いたモヤモヤ感は、少し整理できたような気がする。

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