「テレワークエキスパート講習会」に行ってきた
こんにちは、しごとのみらいの竹内義晴です。
昨日、総務省のテレワークエキスパート講習会に行ってきた。
テレワーク(tele-work)には『遠い(tele)ところで、はたらく(work)』という意味がある。情報通信技術(ICT)を使って、時間や場所に縛られず柔軟にはたらくワークスタイルで、いわゆる「一億総活躍社会の実現」に向けた、「働き方改革」の一つだ。
例えば、子育てや親の介護が必要になったとき、これまでは会社を辞めるのが一般的だった。けれども、会社にとっては貴重な人材を失うことになるし、はたらく人にとってははたらく機会を失うことになる。「多様性をもった人が活躍できるように」......そんな目的がテレワークにはある。
講習会の参加者は、大きく分けると2つのパターンに分かれた。
- これからテレワークを導入したい、はたらきかた改革を行いたい企業
- テレワークの普及に貢献したい、これを機会にビジネスチャンスにしたい企業
ボクはこのどちらでもない。「地方にテレワークセンターのような拠点があったらいいな」と思っていたため、参加することにした、
総務省では「地方のテレワーク」をふるさとテレワークというネーミング位置付けられている。ふるさとテレワークとは......
「ふるさとテレワーク」は、それまで都市圏で働いていた人が、テレワークを活用することで、いつもの仕事をつづけながら地方への移住を実現するライフスタイルを指します。都会の喧騒を離れた自然豊かな街に住まい、美しい四季のうつろいを感じながら都会の仕事をこなす。風が唄い、川が躍る鮮やかな風景が、あなたの新しい「ふるさと」になる。働くひと、一人一人がより自由な生活を送れるというだけではなく、地方へのひとの流れが生まれることで、日本のふるさとが一層活気づく。「ふるさとテレワーク」が、地方創生の鍵を握っています。
出典:ふるさとテレワークとは | furusatotelework.jp
ふるさとテレワークを一言で言えば、企業のサテライトオフィスのようなイメージが、一番分かりやすいかもしれない。
ボクが抱くテレワークセンターのイメージは少し違う。「特定の企業のサテライトオフィス」というよりも、「誰でも豊かな自然の中で自由にはたらけるビジネスセンター」。
いくつかの部屋があって、各部屋にはネット回線など、テレワークに必要な機器は備わっている。ベッドもあって長期間滞在もできる。
部屋の使い方は自由だ。企業のサテライトオフィスのように使ってもいいし、フリーランスの人のしごとの拠点に使ってもいい。また、ストレスを抱えたビジネスパーソンの一時退避場所のように使ってもいい。遠隔で働けば職場のような人間関係がないからはたらきやすいし、ストレスが改善したら職場に戻ればいい。
センターは、廃業してしまったホテルや使われなくなった会社の保養所をリノベーションする。24時間入れる温泉があって、いつでも気分転換できる。近くには小さな農園があって、1部屋2畳ほどの農地を自由に使うことができる。ちょっとした野菜を植えて育てれば、しごとの気分転換にもなるし、いやしにもなる。
単に「地方にはたらく拠点を作りましょう」というよりも、「こころ豊かにはたらきましょう」というビジネスセンターだ。研修センターの一部に、テレワークセンターがあるイメージ。テレワークは子育てや介護に限らなくてもいい。そんなセンターが地方にできたらいいのになーと思うのだ。
講習会に参加して、ICTの技術的な面だけではなく、労務管理や意識改革など、いろんな課題があることが分かり、有意義な講習会だった。企業にテレワーク導入を支援するロールプレイングでは、いろんな会社の方と話せたのもよかった。
ここからは、ちょっと余談。
テレワークの目的はすばらしいと思うし、自由な環境ではたらく人が増えるのは歓迎すべきだ。けれども、実際に地方で、テレワーク的なスタイルではたらいていると、課題は多いと感じている。
例えば、現在、テレワークに取り組んでいる企業と言えば、比較的リソースに余裕がある大企業が中心のように感じる(実際、講習会に参加されているのも、名だたる企業の方が多かった)。けれども、「多様性を持ったはたらきかたができる」ことがテレワークの目的なら、大企業だけではなく中小企業のほうが、むしろ求められているのではないか。
また、テレワークのようなはたらき方ができるのは、首都圏に会社があり、地方にまわせるしごともある。だから、サテライトオフィスのようなテレワーク環境ができるのだろうとも感じる。けれども、これでは特定の企業ではたらいている人しか、テレワークの恩恵を受けられないし、「自由に」という感じでは、まだない。地方だけだと、しごと自体がなかなかない。
また、どんなにITインフラが整っていても、地方が拠点だと壁を感じることも多い。例えば、ボクは文章を書くライターのしごともしているが、拠点が新潟だと伝えると「新潟ですか。じゃあ、新潟の案件があれば......」のように言われ、取引の対象にならないことがとても多い。文章を書くしごとはネットさえあればどこでもできる。ITインフラは整っていても、意識的な距離が、「地方はまだ遠いのだなぁ」と実感することが多々ある。
テレワークは、「どこでもはたらける」のがメリットだと思う。首都圏の人が地方ではたらくだけではなく、地方の人が首都圏のしごとをする機会にもなったらいいなと思う。地方にはしごとがない。だから、若い世代が首都圏に行かざるを得ない現実もある。「地方でもしごとができる」ようになるきっかけとして、首都圏と地方との双方向の動きとして、テレワークの存在があればいいのになぁと思う次第である。