新国立競技場問題で改めて大事だと思った「抽象的思考力」
こんにちは、しごとのみらいの竹内義晴です。
世の中にはいろんな問題が山積みですよね。集団的自衛権や普天間基地、原発、TPPなどなど。最近では、新国立競技場の問題がテレビをにぎわわせています。
で、最近よく思うのは、「いろんな問題があるときほど、抽象的思考力が大事だな」ということ。抽象的思考力とは、一つ上の大きな視点に立って、「本当に大切なことは何なのか」を考えること。
問題が起こると、とかくAかBかで対立しがちです。たとえば、新国立競技場で言えば、「2500億円が高いか安いか」「現在の案でいくべきか白紙撤回すべきか」のように。
すると、予算構成などの具体的な視点や、デザインが決まった過去の経緯などに目が向き、「ここはもっと削るべき」「オリンピックなのにたった2500億円を出さないのは......」のような批判合戦となり、問題の原因追及や、責任の押し付け合いになりがちです。
もちろん、問題が起こったのですから、原因追求や責任追及は大切です(大切なお金を使っていればなおさらですよね)。
この件に対して、IOCのバッハ会長は、「大切なのは2020年にスタジアムが完成していること」と言ったそうですが、AかBかで対立しているときほど、「本当に大切なことは何なのか」を考えることって、大事なことだなと思っています。
このような、一つ上の大きな視点に立って、「本当に大切なことは何なのか」を考えるのが、抽象的思考力です。
本当に大切なことは何なのかが見えると、「こんなことをしている場合ではないな」と思いますし、本当の目的が明確になれば、別の選択肢が見えてくるかもしれません。
たとえば、新国立競技場の本来の目的が「世界のトップアスリートが最高の競技ができる場」とするなら、「目的を本来の目的に絞れば、予算も工期も削減できるかもしれないな」という、新しい視点が見えてくるかもしれません。
もちろん、新国立競技場の問題はそんなに簡単ではないことはよく分かっています(いろんな大人の事情もあるでしょうし)。けれども、このような問題は、規模の近いこそあれ、私たちのビジネスシーンでもいたるところで起こっていますよね。
問題が起こったときほど、ひとつ上の「そもそも......」という視点で考えることが、大切なのではないかと思います。
抽象的思考をするには、このような問いで考えてみると便利です。
- そもそも、本来の目的はなんだっけ?これ、何のためにあるんだっけ?
- これを達成する、本当の意味は?
- これが得られたら(得られなかったら)、どうなる?
- 大切なのは、○○(AとBで対立していること)ではなく、□□(より大きな目的)なんじゃない?
現代は時間の流れが早い上、先の見通しが立ちにくく、構造が複雑なので、いろんな問題が起こりがちです。そんな時代だからこそ、抽象的思考力が大切なのではないかと思います。場をいい方向に導くリーダー層のみなさんには、特に。
抽象的思考力については、しごとのみらいのホームページ「抽象的思考能力」で問題解決力を高めようにもまとめてあります。よかったら読んでみてください。