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夜回り先生 水谷修さんの「日本の精神医療について」を読んで

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こんにちは、しごとのみらいの竹内義晴です。

夜回り先生こと、水谷修さんが書かれた日本の精神医療についてという記事を拝見しました。Twitterのタイムラインを眺めてみると、さまざまな意見が出ているようです。

一部を引用します。

私は、ずっと日本の精神医療について、危険性を感じています。いや、厳しく言えば、精神科や心療内科、神経科を一回解体すべきだと考えています。
日本の精神科医のほとんどは、投薬による治療に専念します。でも、環境要因による後天的な精神疾患を、環境を変えることなく、精神科薬の投与によって、脳自体の活動におおきな影響を与え、環境適応できるようにすることは、本当の意味での治療といえるのでしょうか。

そのほかは原文をお読みください。

正直、水谷さんのご意見に全て同意……というわけではないのですが、おっしゃりたいことはよくわかります。

大して顔が広いわけではないので、狭い範囲のことしか知りません。それでも仕事柄、メンタル的なダメージを受けた経験がある方や、薬を服用されている方、そのサポートをされている方と話をする機会は、一般的な方よりも多いほうかな?とは思います。

その中で気づくのは、肉体的な疾病だと「○○病院はいいよ」とか、「○○先生は本当に信頼できるよ」というような「オススメ系の声」を身近でもよく聞くのに対し、メンタル的なほうは少ないことです。逆に「先生が話を聞いてくれない」「薬を飲んでもあまり変わらない」「変わるのは薬の種類だけ」という声はよく聞きます。薬を飲んでいる方も「良くなる」というよりは、[症状を抑えるために飲んでいる]という意見が大半かな?という感じです。

これは私の周りで起こっていることなので、もう少し視点を広げてみるとどうなのでしょうか。ネットで心療内科の口コミを検索してみました。たとえばQLifeというサイトで、ボクの住んでいる新潟県を検索してみると、「今まで幾つかの心療内科へ通いましたが」「5年位前から」「どこの病院へ行っても体調不良の原因が分からず」「何軒かの心療内科を経て」といった声が意外と多いことに気づきます。これは、「いい先生に巡り会えないことも多い(=巡り会えないと改善しない?)」ということを意味しているのかもしれません。

これらを踏まえつつ、私たちビジネスパーソンの周りに目を向けてみると……「企業のストレスチェック義務化」「ITベンダーがストレスチェックツール開発」「メンタルヘルスのパッケージを販売」のような、「チェック」→「診断」→「病院」→「治療」という流れが多いことが分かります。

心療内科の口コミ情報が物語っているように、病院に通院することで救われる人もいます。しかし、いい先生の巡り会わなければ問題が改善しない……というのもまた、事実なのだろうと思っています。実際、これまで話を聞いた方の中には「うつと言われてうつになった」「薬を飲み始めて10年になる」という方もいるぐらいです。

だからと言って、「精神医療はダメだ」とか「薬は飲まないほうがいい」などのような乱暴なことをいうつもりはもちろんありません。けれども、『「チェック」→「診断」→「病院」→「治療」という表面的な解決策が本当にいいのか?』『別のアプローチも必要なんじゃないか?』とも思っています。

たとえば、先日ご紹介した、脳神経学者が書いた「心をつなげる」には、こんな記述があります。

我々が行った脳スキャン調査結果は、ポジティブな思考、気持ち、結果に意識を集中することは世界中のいかなるドラッグよりも絶大な効果があり、特に昔からのクセ、習慣、信念を変えようとする場合でその効果は顕著だと示している。

また、この本の序文で、精神科医の名越康文さんは次のように言っています。

この本に書かれていることは、医療関係者としても非常に大切なこと”心というものがいかなるものか、どのように一人一人の人間の心と向き合うのか”を学ぶためには最適な本だと思います。医学生から研修医時代に一度じっくりと熟読されるといいと思います。

この本には、「ストレスを抱えたらチェックをして病院へ行こう」とは書かれていません。

だからと言って、「ポジティブに考えよう」っていうのが頭では分かっても、なかなか実行できないのもまた、事実(特にメンタル的にダウンしているときはそうですよね)。それでも、今、私たちビジネスパーソンに必要なのは、「医療ではない何か」のほうなんだろうと思っています。

先日、誠Biz.IDで中小企業のメンタルヘルス対策に、今、必要なことという記事でも書いたように、ボクは「メンタルヘルス対策」ではない、別の方向性を探ってみたいと思っています。これについては、他にも気になっていることをブログに書いてから、数日後に詳しくお話したいと思っています。

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