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「メラビアンの法則」をウソかホントかだけで判断しないでください

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こんにちは、コミュニケーショントレーナーの竹内義晴です。

コミュニケーション研修用のテキストを作っています。テキストには「メラビアンの法則」と、それを体験するワークが入っています。

「メラビアンの法則」と言えば、アルバート・メラビアン博士が研究したとされ、コミュニケーションの法則として知られています。

Wikipediaによれば

この研究は好意・反感などの態度や感情のコミュニケーションについてを扱う実験である。感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であった。この割合から「7-38-55のルール」とも言われる。「言語情報=Verbal」「聴覚情報=Vocal」「視覚情報=Visual」の頭文字を取って「3Vの法則」ともいわれている。

しかし、「メラビアンの法則」で検索すると分かるように、「メラビアンの法則は誤解だ」「メラビアンの法則はウソだ」という情報も多いです。もう一度、Wikipediaより引用します。

この内容が次第に一人歩きをし、この法則から「見た目が一番重要」あるいは「話の内容よりも喋り方のテクニックが重要」という結論が導き出されると言う解釈が有名になっている。就職活動の面接対策セミナー、営業セミナー、自己啓発書、話し方教室などでこの解釈がよく用いられる。

ただしこの実験は「好意・反感などの態度や感情のコミュニケーション」において「メッセージの送り手がどちらとも取れるメッセージを送った」場合、「メッセージの受け手が声の調子や身体言語といったものを重視する」という事を言っているに過ぎない。
よって単に事実のみを伝えたり要望をしたりするコミュニケーションの場合には触れておらず、コミュニケーション全般においてこの法則が適用されると言うような解釈はメラビアン本人が提唱したものとは異なるもの(通俗心理学)である

メラビアンの法則の誤解を最初に指摘したのは【メラビアンの法則】天使と悪魔のビジネス用語辞典と言われています。

たしかに、伝えられる間に異なった解釈も生じたのかもしれません。しかし、本来のメラビアンの法則自体にウソはありません。メラビアン博士は「言葉の内容と表情(もしくは声質)が矛盾している場合、聞き手は言葉と表情のどちらに重きを置くか」ということを調べました。その結果、表情に重きを置く人が55%、声の質に重きを置く人が38%、言葉の内容に重きを置く人が7%だった……というものです。

たとえば、実際の職場のシーンで考えてみると、職場の同僚が青い顔をしていて体調が悪そうなとき、「大丈夫?」と声をかけると、多くの人が相手を心配させまいと「大丈夫」と答えます。けれども、表情や声の質が明らかに大丈夫そうではない時(つまり、言葉の内容と表情が矛盾しているとき)、私たちは、言語情報よりも、表情や声の質に重きを置くことが多いようです。

実際私にも経験があります。同僚のS君が何か悩みを抱えていそうだったので、「大丈夫?」と声をかけたのですが、S君は「大丈夫です」と答えました。しかし、言葉では大丈夫だと言うものの、顔の表情や声のトーンからなんとなく大丈夫ではない感じがしたので、改めて「本当に大丈夫?」と確認したら、「ちょっと話を聞いてもらっていいですか?」と言われたのです。別室で話を聞いたら、S君は上司との関係で大きな悩みを抱えていました。話を聞いた後、S君から「話を聞いてもらえて肩の荷が降りました。ありがとうございました」と言われ、うれしかったことを今でも思い出します。

このように、人は、言語と非言語で情報のやりとりをし、相手の状況を判断しています。だからこそ、言葉に加えて、表情や声のトーンをよく観察する必要があると思っています。メラビアンの法則をウソかホントかだけで見てしまうと、大切なポイントまで見誤ってしまうのではないでしょうか。

それが、メラビアンの法則をウソかホントかだけで判断してほしくない理由です。

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