誠Biz.IDに『「ポジティブの押し売り」していませんか?』が掲載されました
しごとのみらいの竹内義晴です。
誠Biz.IDに連載させていただいている、ボクの不安が「働く力」に変わるときの新しい記事が公開になっています。
今回の記事は「ポジティブの押し売り」していませんか?です。
この記事を書こうと思ったのは、しばし時間が経っているんですけど、先日のオリンピックが東京に決まったときのことがきっかけです。
オリンピックが東京で開催されることが決まった朝、実はボク、報道を観て最初に抱いたのは、ネガティブ・・・ってほどでもないんですけど、「そうか、東京になったか」って感じだったんです。実は。
いや、東京になったこと自体は喜ばしいことだと思ったんですけど、頭のどこかしらに福島のことがあって。あと、安倍首相の「under control(コントロールされている)」という言葉に違和感を抱いたこともあって。これも頭では分かってるんですよ。「プレゼンにはパフォーマンスも必要なときもあるよね」と。
ソーシャルメディアにはお祝いメッセージで溢れていました。一方、ボクみたいな気持ちを抱いた人は少なくなかったみたいです。中には、「こんな喜ばしいことなのに、ネガティブな考えじゃダメだ、もっと前向きに考えるべきだ」みたいなメッセージもありました。
頭では分かっているんです。「そうだよな、喜ばしいことだよな」と。けれども、事実として、胸のあたりにはやっぱり違和感もあって、「こんな喜ばしいことなのに、ネガティブな考えじゃダメだ、もっと前向きに考えるべきだ」という言葉は、ボクの気持ちに響きませんでした。
で、オリンピックだけじゃなくて、こういうことって仕事で失敗したときや、なかなか前向きになれないときなんかに結構あるなって思ったんです。前向きな方向に視線を向けさせようとしてくれているのは理解できるけど、感情がついてこない。むしろ、ここにある気持ちを否定されているような感じがして反感を抱いてしまう……。せっかく前向きにリードしようとされているのに、皮肉ですけど。
相手を前向きにリードするなら、否定するようなネガティブな言葉じゃなくて、その言葉自体も前向きな言葉だったらいいのになぁと思います。
ボクのコミュニケーションの師匠は、「相手を望ましい姿にリードするとき、いきなり前向きにしようとすると相手を傷つけることがある。リードする基本は、ペース’&リードだよ」と教えてくれました。
ペース&リードとは、「まず、相手のペースに合わせる(ペーシング)、それから、前向きにリードする(リーディング)」ということ。
たとえば、オリンピックの例なら、「福島の復興を願っているからこそ、ネガティブに感じるんだよね(ペーシング)。その思いを、日本全体の明るい未来に向けてみたらどうかな(リーディング)」とか、「福島のことを真剣に考えている人ほど、福島にお金を使ったほうがいいと思うかもしれない(ペーシング)。大切なのは日本選手が活躍している姿を見ることで、福島のみなさんを元気にすることなんじゃない?(リーディング)」みたいな言葉なら寄り添われている感じがするし、思いが分かってもらっている感じがする。その上でポジティブにリードしてくれるから「そうだな」って思える。
そう思うと、言葉って大事だなと思います。
とはいえ、ボクも自身まだまだうまく伝えられないことがたくさんあるので、周りを元気にする一言を言えるようになりたいなと思う、今日このごろです。