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社員のモチベーションやメンタル的なことは経営者には関係ない?経営者にこそ知ってほしいこと

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先日、出版感謝講演会チラシを、ある経営者が集っている組織にお持ちしたときのことです。 

今回の講演会は、仕事の中で起こるいろんなネガティブな感情変化に対して、ご自身でコントロールするためのシンプルな方法についてお知らせするのですが、その旨をご担当の方にお話したところ 

「うちはそういう方よりもむしろ、経営者の集まりなので……」 

というお声を伺いました。 

それを伺って、私はこう言いました。 

「確かに、経営者のみなさんにとっては、今回のテーマは、直接的にはあまり関係のないことなのかもしれません。けれども、会社で働く社員さまのモチベーションやメンタル的な問題は、組織にどんな影響をもたらすのでしょうか。 

社員さまのモチベーションやメンタル的な課題があることに気づいていらっしゃらない経営者の方もいます。その場合は、気がついてないのですから仕方のないことです。 

一方、社員さまの変化に気がついているのに、何もできない……というより、どのようにしたらいいのか分からないという方もいます。何とかしたほうがいいとは思いつつも、一般的に、モチベーションやメンタル的な問題は個人の資質と考えられていますし、モチベーションやメンタル的なスキルは、仕事に使う直接的なスキルとは違って、会社の研修等で扱うには、なかなか手を付けられない分野だということもよく分かります。 

けれども、もし、社員さまの変化に気がついているのに何も手を打たないとしたら……せっかくこれまで育ててきた社員さまが、突然休職してしまう可能性もありますし、突然退社してしまうこともあるかもしれません。それは、今まで、社員さまの成長を願ってお金と時間をかけてきた会社にとって、大きな損失ではないでしょうか。 

だからといって、会社として具体的な何かをしづらいテーマであることも、とてもよく分かります。だからこそ、社員さまお一人お一人がご自身で解決する力を身に付けていただきたい。そして、地元上越から、元気な会社が増えることを願っています」 

このようなお話をしたところ、ご担当者さまの顔色が一変。ご協力してくださるとのこと。 

「社員は会社の最大の資産だ」……よく聞く言葉です。だからこそ、人材教育に多くのお金と時間を投資している会社もたくさんありますよね。いや、その大切さは分かってはいるものの、実際には、人材育成にお金をかけられるのは大手の企業だけで、スローガンのようになってしまっているのが実際のところなのかもしれません。 

けれども、研修等が行われていても、多くは仕事に直接役立つスキルが中心で、私たちが働く動機づけの根底にある、感情コントロールや動機づけ、セルフコミュニケーションについては、あまり触れられていないのが実際だと思いますし、それらはどちらかというと個人の問題。会社がそこまで面倒みる必要があるのか?と思われるのも当然のことです。 

それでも、今回ごあいさつに伺った組織では、社員一人ひとりのモチベーションやメンタル的な側面が重要で、自分自身で感情をコントロールしていくことの重要性を理解していただけたことが本当にうれしく思いました。 

社員のモチベーションやメンタル的なことに対して、会社として直接何かができることは少ないかもしれません。だからこそ、まず、知識だけでも経営者のみなさんにその重要性を理解していただきたいし、そうは言っても、会社としてなかなか扱いにくいテーマであることも多いので、社員のみなさんお一人お一人も、ご自身で解決できるような力をつけていただきたいと思っています。

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