「3人のレンガ職人の話」で、セルフイメージは強化できるか
昨日は大好き妙高!地域活性化プロジェクト勉強会でした。
テーマは、セルフイメージについて。
6月の勉強会は、伝わる文章の書き方がテーマでした。書いた文章を多くの方に読んでいただくために、何がポイントなのかを、何年かブログやメルマガを書いてきた経験からお伝えしました。
で、前回の勉強会が終わって帰宅後
「待てよ。文章テクニックも大事だけど、その前に、『自分は何者か?』『自分は何のためにそれをしているのか?』(つまり、セルフイメージ)が明確かどうかで、伝える内容も変わってくるんじゃないかな」
ということに気が付いて、今回の勉強会ではセルフイメージについて取り上げました。
最初、何も情報を示さずに「もし、初めてあった人と名刺交換するとき、自分のことをなんと紹介しますか?」と問いかけ、考えていただきました。
みなさんの意見は、「ホテルの雑用係」「燃料(ガソリン)を販売している」などなど。
経営者寄りの方もいらっしゃいます。小さいホテルや事業所は、確かに、何でもやる必要がありますから、実際、雑用係のような感じです。
けれども、セルフイメージとは「自分は何者か」をつかさどる部分。「今がどうか」よりも「どうありたいか」でもあります。また、自分を「雑用係」としておくのは、自分を大切にしていないことにもなってしまうので、自分を大切にするという意味でも、仮に今はそうでないとしても、セルフイメージはもっと自由で、もっと崇高であってもいいと、私は思っています。"崇高で"なんて表現すると笑っちゃうかもしれませんが、イメージですからいいんですよ。崇高で。
こういうとき、よく引用されるのが3人のレンガ職人の話です。
レンガを積んでいる3人のそばを、旅人が通りかかり、その3人に「あなたは何をしているのですか?」と声をかけるという、あの話。ご存じの方も多いのでは。
- 1人目は「私は親方の命令でレンガを積んでるんだよ。見ればわかるだろ」
- 2人目は「私はレンガを積んで塀(へい)を造っているのです」
- 3人目は「私はレンガを積んで学校を造っています、そして子供達が勉強できる施設を多く造ってあげたいのです。子供たちが喜んで勉強する姿が見えるのです」
と答えます。でも、みんなやっているのは「レンガを積む」という同じ作業・・・という話です(出典元を調べましたが、今1つ不明)。
以前、この話を聞いたときは感動して「何のためにそれをやっているのかを自分で認識しておくって大事だなぁ」と思いました。
今、改めてこの話を読むと、話としてはすごくいい話で、頭の中ではセルフイメージの大切さが理解できるのですが、「どうしたら、1人目の人が3人目のようなセルフイメージを抱けるようになるのだろう?」と疑問が浮かびます。
仮に、1人目の人に「あなたは何のためにレンガを積んでいるのですか?」と問いかけたら、きっと、「金のために決まってんだろ」とか、「何のために?そんなの考えたこともねーよ。めんどくせーなー」になるかもしれませんし、「あなたが心身共に豊かになり、成長するために、そして、世の中に貢献するために、もっとセルフイメージを高く持った方がいいですよ」とお説教したとしても、「ほっとけ、ボケ!」と言われないだろうか……。
マズローの五段階欲求説や、他の自己認識モデルで説明しても、やっぱり、頭の中で表面的にしか理解できず、「いいお話を聞かせていただきました」で終わらないだろうか……。
でも……それを差し置いても、セルフイメージを高くすることは自分を大切にするという意味でも大事です。問題は、「1人目のレンガ職人のセルフイメージをどう上げるか」です。
昨日試したアプローチは、トライアングルコミュニケーションモデルを使う方法です。
紙の真ん中に○を書いて、その中に、現在やっている仕事の内容を書きます。「何のために」とか「目的は」などと考えると、難しい言葉に頭が思考停止してしまうので、「イメージしてください。あなたがしている仕事によって、もし、周りの人や顧客がハッピーになって、あなたに感謝しているとしたら、一体、何を得ているでしょうか?」と問いかけます。
たとえば、レンガ職人なら、「あなたが積み上げたこのレンガは美しくて、感激しています」とでも言っている感じでしょうか。
何かしらの回答が出たら、さらに矢印を上に伸ばして、「それによって、周りの人や顧客は何を得ているのか」を繰り返し考えます。
たとえば、「美しく積み上げられたレンガによって、顧客どうハッピーになってる?何を得ている?」という問いになりますね。答えは、「この美しいレンガで作られる家を想像し、ワクワクしている」のような感じになるでしょう。
さらに矢印を上に伸ばして・・・繰り返します。
具体的に考えてみたのですが、最終的にはこんな形になるでしょう。
頭の中だけで「何のために?」「その目的は?」と考えても、なかなか考えづらいです。けれども、トライアングルコミュニケーションモデルを使い、絵を書きながら1つひとつ矢印を上に伸ばし、少しずつ階段を登っていくように考えることによって、自然と抽象度の高い(より大切な)セルフイメージを導くことができるんですよね。
また、すぐに考えが浮かばなくても、先に矢印と丸を書いてしまうと、「ここには何かあるはず」「ここを埋めなきゃ」という気持ちが働くとともに、組織図やトーナメント図がそうであるように、大切なものは三角形の上にあるのが一般的なので、自分にとって大切なものを見つけるために、矢印を上に伸ばすのがポイント。
最初、「ホテルの雑用係」とおっしゃっていた方は「妙高自然コンシェルジュ」に、「燃料を販売している」とおっしゃった方は「車の保健室」というセルフイメージになったそうです。
さらにオススメするのは、いろんなシーンで自分の考えに触れてみること。「今、やりたいと思っていること」とか、「仕事で楽しいと思うこと」とか。それを中心に書いて、「それによって、何が得られるのか?」を繰り返し考えるだけで、自分にとって本当に大切なものが見えてきます。
私は、連載のネタを考えるときでも、新しいセミナーを企画するときでも、講演のネタを考えるときでも、トライアングルコミュニケーションモデルを使いますが、最終的にいつも出てくるのは「仕事が楽しくなっている」とか「仕事を楽しくしたい」です。これが、私にとってとても大切なことだからなのでしょう。その環境を作るのが、私のセルフイメージで、私の使命なのだと、最近つくづく感じます。
以前、@IT自分戦略研究所に寄稿した「自分の強みは「プログラミングの何が好き?」という問いの中にある」にも詳しい紹介があります。もしよろしければご覧ください。
■お知らせ
東京・新潟市・上越市で、戦略的思考整理術トライアングルコミュニケーションモデルイントロ講座を開催します。「自分で考えることの楽しさ」に触れてみてください。ご自身のセルフイメージを高めたい方、スタッフのセルフイメージを高めさせたいとお思いの人事やリーダー層の方などにもオススメです。