「○○するな!」は効果的?社員に行動を改善して欲しいときの伝え方
この記事は、今日、しごとのみらいのメルマガで配信したものです。
シンプルなことですが、結構、大事なのでブログにもリライトしてアップします。
■ある企業に掲げられていた額縁
先日、プライベートで、ある企業の受付に行ったときのことです。
ふと視線を、受付の奥にある事務所の方に向けると
壁にかけられた額縁の中に
次のような言葉が大きく書かれていました。
絶対にするな!
あとでやる
大丈夫だろう
誰かがやるだろう
おそらく、この企業では、これらのことをしてほしくない
(言い方を変えると、もっといい会社にしたい)という願いを込めて
これらの言葉を書いた額縁を飾っているのだと思います。
その思いとは裏腹に
否定的な言葉が並んだ額縁を見た私は
何か、否定的に命令されているようで
なんとなくゆううつな気分になりました。
■私たちの脳は、言葉をそのまま理解しようとする
このような、「○○するな」という表現を「否定命令」と言います。
私たちの脳は、「○○するな」という言葉を理解しようとするとき
最初に、「○○する」ということを意識してしまいます。
つまり、先ほどの額縁にある「絶対にするな!」は
「あとでやる」
「大丈夫だろう」
「誰かがやるだろう」
ということを意識しようとします。
・・・という説明だけでは
分かりづらいと思いますので例文を挙げます。
次の文章を読んで、思い浮かべるものは何でしょうか?
「暑いと思うな」
「今日、同僚とビールを飲みに行ってはいけない」
「ピンクのクマを絶対に想像するな」
おそらく、「暑い」に意識が向くでしょうし(暑い中、すみません)
「ビールを飲みに行きたくなる」でしょうし(暑い中、すみません)
「ピンクのクマ」を想像しようとしたでしょう。
このように、否定文を使った命令は
「意識してほしくないことを意識させてしまう」のです。
■行動を改善してほしければ、肯定表現を使おう
冒頭の企業の壁に掛けられていた言葉たち。
本当は、社員のみなさんに、次のように行動してほしかったはずです。
「あとでやる」→「今すぐやる」
「大丈夫だろう」→「念には念を入れる」「最善を尽くす」
「誰かがやるだろう」→「気づいたら自分で行動する」
つまり、「○○するな!」ということを伝えるときは
「○○する」「○○しよう」という肯定表現に言い換えた方が
- 嫌な感じがせず、前向きなメッセージになる
- 言葉自体が行動を意味するようになる
のです。
しかも、お客さまが目にするところに掲示するのならば
否定命令を使った言葉が書かれていると
「ここの社員は、
『あとでやる』『大丈夫だろう』『誰かがやるだろう』
というタイプの社員なのだろう」
という、ネガティブな印象を与えます。
なぜなら、それが出来ている会社なら、わざわざ掲示しないからです。
それならば、次のように掲示したほうが、断然雰囲気が良くなります。
今日も全社一丸となって実践しよう!
今すぐやろう
最後まで最善を尽くそう
気づいたら自分で行動しよう
否定的に伝えるか、肯定的に伝えるか。
表現を変えるだけで印象がガラッと変わります。
同じメッセージを伝えるなら、この違いは大きいですね。
■日常の中で肯定表現をトレーニングしよう
世の中を見たわすと
「トイレを汚さないでください」
「落書きをしないでください」
など、否定命令文は至る所で見つけることができます。
否定命令文を見つけたときは
肯定表現をトレーニングするチャンスです!
「これを肯定的(○○する)に言い換えるとどうなるか?」
実際にやってみると、否定表現のネガティブなパワーと
肯定表現のポジティブなパワーの違いが実感できるでしょう。