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なぜ、コミュニケーションスキルを学んでもすぐに実践できないのか

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1/29(日)、恵比寿で開催していた、新しいコミュニケーションの形「トライアングルコミュニケーションモデル(以下、TCM)実践講座の最終日でした。

4日間の講座も本日で終わり。すばらしい6名のみなさんと、楽しく学ぶことができました。みなさん、本当にありがとう!

講座も終わったこともあり、もう少しこのモデルについて、お話したくなりました。そこで、今日はボクがTCMを開発しようと思った背景についてお話しようと思います。

TCMは、「複雑で難しいコーチングやカウンセリングのコミュニケーションの流れを、簡単なチャートを書くことで、誰もが簡単にできるようにしたモデル」です。

ボクがTCMを開発しようと思った理由を一言でお話するなら、「コーチングやカウンセリングなどで使われるコミュニケーションの技法を、もっとシンプルに分かりやすく、誰もがすぐに実践できるようにしたい」「資格とか、そういうこと以上に、現場で本当に使える方法をお知らせすることで、職場で起きている「人に関わる課題(自発的人材の育成や、メンタルヘルスなど)」を解決できる人を増やしたい」と思ったからです。

なぜ、このような考えを持つようになったかと言いますと、ボクがコーチとして活動している中で、現役のコーチとして活躍されている方や、経営者やリーダーとして職場でコーチングスキルを活かしたいと思われている方とセッションをする機会が多々あります。

これらのみなさんは、「コミュニケーションが多くの課題を解決する」ということに気づき、価値を見出されているので、すでにコーチングやNLPなどのコミュニケーションスキルを学ばれている方も多いです。

セッションでさまざまなお話を伺いますが、これらのみなさんには面白い共通点がありました。コミュニケーションに価値を見出し、すでにコミュニケーションスキルを身につけているはずなのに、次のような課題や悩みを抱え、質問やアドバイスを求めてくるのです。

その内容とは……

「コーチや上司としての『あり方』は学べたが、具体的な『やり方』が分からない」「話し方や聞き方はトレーニングしたが、会話の流れを体系的に組み立てられない」「クライアントやスタッフとの関わりで、会話を上手にコントロールできない」「会話の流れが意図しない方向に進んでしまうとてんぱってしまい、修正できない」「どのような質問が効果的に働くのかが分からない」「つい、質問攻めにしてしまう」「相手が精神的に不安定だと、関わるのが怖い」

などなど。

一言でまとめると、「会話の流れや質問を体系的に組み立てられない。だから、現場ですぐに使えない」ということでした。

その結果、コーチングで習った「質問」を意識するばかりに

「○○さん、これはどうすればいいでしょうか?」
「あなたはどうすればいいと思う?」
「・・・(いや、それが分からないから聞いているんですけど)」

のような質問返しをしてクライアントやスタッフを困惑させてしまったり、根掘り葉掘り質問して嫌がられてしまったりするケースがとても多いのです。

この解決策を求めて、多くの方は「他のスキルを身につけたほうがいいのではないか」という思いを抱きます。NLPを学んできた方なら「コーチングも学んだほうがいいんじゃないか」、コーチングを学んできた方なら「NLPも学んだほうがいいんじゃないか」。

そして、実際にどのぐらいの期間やお金が掛かるのかを調べます。けれども、多くのコミュニケーショントレーニングは時間が掛かる上に、非常に高額なものも多いので、「このスキルはよさそうだけど、これだけの時間とお金を掛ける価値があるのか」と迷われます。

そして、ボクにこう聞いてくるのです。

「コーチング(またはNLP)を勉強すると、現場で実践できる体系的な知識を身につけることができますか?」

ボクは、コーチングもNLPも実践してきた一人として、この質問には正直に答えようと思い、こう答えました。「新しいスキルを学びたいと思われる気持ちはよく分かります。けれども、その必要はありません」。なぜなら、すでに、必要なトレーニングは、それぞれのコミュニケーションスキルの中に含まれているからです。

では、それらのトレーニングによって、なぜ、体系的に学べたと思えないのか、なぜ、すぐに現場で生かせないのか……

これまでのトレーニングの多くは「文章」が中心に構成されていました。文章で書かれたワークシートで、「このときは、こうする」のように学びます。それは論理的、左脳的なトレーニングが中心です。けれども、コミュニケーションは「このときは、こうする」と論理的に組み立てられるシーンばかりではないし、相手の話を聞きながら、瞬時にそれを行うのはとても難しいのが実際です。想定外のパターンに出くわすと、もう、頭の中が真っ白でパニック。クライアントやスタッフをうまくリードできず、「なかなかセミナーで習った通りにはできないなぁ。やっぱり、コミュニケーションって難しいな~」と自信を失ってしまいます。

ボクがコミュニケーションの勉強を始めたときもそうでした。

でもボクは、今、会話の流れを組み立てることに悩むことはありません。仮に軌道がずれてもうまく修正できますし、クライアントが望む価値を見い出し、セッションは時間内に終える自信があります。

「じゃあ、ボクがコーチングやカウンセリングを行う場合、どうしているだろう?」それが、このモデルを作り上げるきっかけでした。

ボクがセッションを行う場合、頭の右上に視覚的なイメージを描いて進めています。その形は三角形で、三角形が示す3つの点や線に「現在」「望ましい姿」「そのために必要なこと」などの意味をつけて、「三角形の中でクライアントはどこにいるのか」「自分は、どこの何について質問しようとしているのか」を確認しながら進めています。この方法は誰に教わったわけではありませんが、これまで実践してきた中で、この方法がもっともぶれずに会話の流れの組み立てられるようになりました。

この「イメージを使う」という感覚は、まるで、頭の中に、ナビゲーション(=地図)があるような感覚です。車のナビゲーションがそうであるように、「今、どこにいるのか」「どこに向かっているのか」「次はどこで曲がるか(=どんな質問をするか)」が、手に取るように分かるし、迷わないのです。

そうです。私は、「頭の中に視覚的な地図(=右脳的)を使ってコーチングを行っていた」のです。

さらに、コーチングとカウンセリングにすすめ方の違いはなく、セッションの内容がどんなパターンのときでも、会話の組み立て方はいつも同じです。

「もし、この方法を体系的にお知らせすることができたら、今まで、たくさんの時間とお金を掛けなければ学べなかったがゆえに、限られた人しか使えなかったコミュニケーションスキルが、職場で誰もが簡単に実践できるようになる。もし、多くのリーダー僧がこのスキルを身につければ、職場でスタッフの本音を引き出し、モチベーションをあげながら行動に結びつけることもできるし、精神的なストレスを抱えている人へのフォローもできるようになるんじゃないか……」

このような思いを抱くに至り、頭の中でイメージとして処理していた会話の流れを体系的にまとめることに着手しました。そして、生まれたのが、この「不思議な三角形」だったのです。

Tcm

・・・と、ここまでまとめたら、今後、どのようにモデルが出来上がり、発展していったのかも書いてみたくなりました。次回以降は「トライアングルコミュニケーションモデル開発秘話」と具体的な内容について、何回かに分けてお知らせします。

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