職業倫理って、何だろう?―プロフェッショナルとして考えておきたいこと
こんにちは、竹内義晴です。
今日、某所で職業倫理について登壇してきます。
みなさんは、職業倫理って何だと思いますか?
「職業倫理って、何だろう?」……改めて考えると、なんだか難しく感じますよね。
職業倫理について、人前でお話するのは初めて。
まだまだ若造なので、職業倫理をお話するほどの立場ではないのですが
せっかくの機会をいただきましたので、職業倫理とは何か、私なりに考えてみることにしました。
職業倫理について、私の中では幾つか視点があるのですが
・正しさと、美しさについて
・短期的視点、長期的視点について
・プロフェッショナルとして
について、まとめてみました。
■正しさと、美しさについて
まず、倫理という言葉をgoo辞書で調べたら、次のように書かれていました。
1 人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル。「―にもとる行為」「―感」「政治―」 2 「倫理学」の略。
うん、倫理という言葉の響きが持つ印象は、このような感じですよね。
企業倫理や、職業倫理という話になると
法令遵守(コンプライアンス)などの話になるんじゃないかと思います。
でも、私の意見では、倫理という言葉の響きには、法令順守だけではない印象を抱いています。
たとえば、よく役人の天下りが話題にのぼりますが
法令からすれば、セーフなのかもしれませんが
倫理観からすれば、「それって、いいの?」って感じがありますよね。
私の中で、職業倫理とは、
正しいか、正しくないか というようりも
美しいか、美しくないか または 潔いか 潔くないか
だと考えています。
自分(自社)だけの利益しか考えていないのは美しくないし、潔くないです。
■短期的視点、長期的視点について
職業倫理としては、長期的な視点で考えることも、大事なのではないかと思っています。
たとえば、あの松下幸之助さんは、みなさんもご存知の通り、偉大な経営者です。
私も本を何冊か拝読させていただきましたが、その精神性や経営哲学には、感動すら覚えます。
家電製品のおかげで、私たちの生活はとても豊かになりました。
けれども、100年先を考えたとき、冷蔵庫やエアコン
そして、たくさんの電力を必要とする生活スタイルは環境を破壊していないのか……と考えると
あの松下幸之助さんも、環境破壊の第一人者になりかねません。
これは、なにもパナソニックさんに限った話ではなく、あらゆる電気メーカーもそうですし
自動車メーカーなど、あらゆる産業もそうです。
もちろん、そこまで考えていたら商品開発などできないのかもしれませんが
倫理として考えるなら、長期的で、俯瞰的な視点も大事なのではないかと思います。
■プロフェッショナルとして
好きな言葉の1つに、ヒポクラテスの誓詞があります。
ヒポクラテスの誓詞は、医師の倫理性と客観性について説いたものですが
Wikipediaから引用しますと……
・この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。
・師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。
・著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
・自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
・依頼されても人を殺す薬を与えない。
・同様に婦人を流産させる道具を与えない。
・生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
・どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
・医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。
いくら高いスキルを持っていても、その使い道を誤れば不正を犯すこともつながります。
たとえば、シェフがおいしい料理を作るためには、切れ味の鋭いナイフが必要ですが
使い道を変えれば人を殺す道具にもなります。
IT業界で言うなら、高いセキュリティを維持するために高い技術力が必要ですが
使い道を変えればハッキングにも使うことができます。
プロフェッショナルだからこそ、高い倫理観を持っている必要があるのですよね。
こんなお話を、ワークを含めてしてこようかなと思っています。
法律は作ることができるけれど、倫理観は罰則でどうにかするものではなく
一人ひとりの価値観として、育てていくものだと思います。
言葉にすると難しくなりがちですが、職業人としては、大事なことですね。
あまり難しくならないように、でも、言いたいことは伝わるように、お話してこようと思っています。