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民主党代表選―パブリックスピーキングに見る、日本と海外の違い

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こんにちは、竹内義晴です。

昨日、民主党の代表が野田前財務相に決まりましたね。

このような選挙のシーンでは
立候補された方がさまざまなシーンで演説されますが
いろんな方の演説を聴くと、日本と海外のリーダーの演説の違いを感じます。

日本のリーダーが、パブリックスピーキングが上手になったら
もっと多くの方を巻き込めるんじゃないかと思っています。

たとえば、日本のリーダーの多くは
「一生懸命である」という気持ちを「命をかけて」などと表現します。
以前の武将なら、切腹する覚悟で挑み、実際に切腹したのでしょうけれども
今は、「命をかける」というのは現実としてはありえません。

また、日本のリーダーの多くは「しなければならない」という言葉をよく使います。
「デフレを脱却しなければならない」
「経済を立て直さなければならない」
「早く復興しなければならない」

のような言葉です。
けれども、「しなければならない」という言葉は、何か緊張感が漂い
「みんなで○○しよう!」という前向きな気持ちが浮かびにくいのです。

以前、この記事を寄稿しました。
「しなければならない」を「したい」に変えるだけでも、伝わるメッセージは変わると思います。

もしよければ、ご覧ください。


それに比べ、海外のリーダーの言葉は
日本のリーダーのように、「あれもやります、これもやります」ではないのに
なぜか、ひかれるものがあります。

たとえば、これらの大統領のメッセージは
決して前向きなことばかりを言っているわけではありません。

ケネディ大統領は、こう言いました。

 アメリカ市民のみなさん、
 アメリカの国があなたに何をしてくれるかではなく、
 あなた方自身が、アメリカに何ができるかを考えてください。


YouTube: ケネディ大統領 就任演説(字幕訳版)1/2


YouTube: ケネディ大統領 就任演説(字幕訳版)2/2


オバマ大統領は、こう言いました。

 私たちは新しい課題に直面するかもしれません。
 取り組むための道具も、新しいものかもしれません。
 しかし私たちが成功するには、勤勉や正直、勇気や公平、寛容と好奇心、
 忠誠と愛国心といった価値観が必要なのです。


YouTube: オバマ大統領 勝利演説(日本語字幕)/ Obama Victory Speech (Japanese Subbed)


他にも、海外の方のパブリックスピーチには
さまざまなメタファーを用いたり、国民に考えさせたりします。
前向きな気持ちになれるし、「何か取り組まなきゃ」という気持ちになります。

海外の方の真似をしろと言っているわけではありません。
聴衆の国民性もありますから。
けれども、今は多くの方が問題意識を持ち始めていますから
メッセージによっては、多くの方を巻き込めるんじゃないかとも思います。

ボクは以前、コミュニケーショントレーナーになったとき
アメリカで人前で話すトレーニングを受けました。
特別上手いわけではありませんが
「話すときの状態づくり(や意識)」「態度、振る舞い」「間」「目線」
「メタファーの作り方」などを少し意識するだけで
何もトレーニングを受けなかったときよりも、伝わり方が結構違うのですよね。

海外のリーダーには、コミュニケーションのトレーナーもいるし
コピーライターもいると言います。
政治家に限らず、日本のリーダーもコミュニケーションのトレーニングをすれば
もっと多くの人を巻き込めるのかもしれません。

最後は「何をやるか」だと思いますが
「何を、どのように伝えるか」も大事だと思います。

一人の聴衆としては、「リーダーのメッセージで、この心を憂さぶり動かして欲しい……」
そんなことを、代表選の立候補者の方々のメッセージを聞いて、感じました。

追伸:

少し話がずれてしまうのですが、私の仲間は、仲間内で
「オバマスピーチクラブ」というのを作り
オバマ大統領のビクトリースピーチを繰り返し練習している人がいます。
英語のそのものの勉強にもなるし、
オバマ大統領がどんな気持ちで、あのスピーチを話しているのか
行間を読み取ることにも役立っているそうです。

また、テンポや間、振る舞いを真似ることで
パブリックスピーキングの練習になるとも言っています。
(このような方法を、専門的には「モデリング」と言います)

LINCsーオバマスピーチクラブ
Obama Speech Club

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