【書評】人材育成の教科書―自分で考え行動できる新入社員の育て方
もし、あなたが人事関係の仕事をされているのでしたら、きっとこれからお忙しいのでしょうね。なぜって、来年度の新入社員の受け入れに向けて、研修の準備をしたり、受け入れ態勢を考えなければならないからです。
キヤノンマーケティングジャパンさんが、今年の採用活動を遅らせるそうですが、ひょっとしたら、今後は通年にわたり、新入社員を育てるための戦略を立てていく必要があるのかもしれません。
「人材育成の教科書」という本を読みましたので、書評させていただきたいと思います。
毎年繰り返される新入社員教育。優秀な人材に育成したい。業績に貢献できる社員になって欲しい。いろんな方法を検討し、「これだ!」と思う方法を取り入れてきたのに、なぜかうまくいかない……。
「最近の若いものは、何を考えているのかよくわからん」
とお悩みの方には、とても参考になるのではないかと思います。
人材育成の教科書―自分で考え行動できる新入社員の育て方 中尾ゆうすけ (著)
この本を一言で言えば、
「新入社員を受け入れ、優秀な社員に育てるまでの教科書」
と言えるでしょう。
著者の中尾さんによれば、
「今年の新人はナニを考えているのかさっぱりわからん」
「最近の若者は常識を知らない」
「いつまで学生気分でいるんだ」
という、よく聞く言葉は、今の時代だけに限らず毎年繰り返されていることで、ベテランと新入社員の間にギャップがあることはごく自然なことだと言います。確かにそうですよね。
新入社員の採用にかかるコストは、一人当たり100万から200万。さらに給与を支払うと、3年で1000万以上を投資することになるのだそうです。それにも関わらず、離職してしまう……企業にとっては悲劇としかいいようがありません。
新入社員教育を効果的に行うことによって、成長を実感し、やりがいを見つけた新入社員は、簡単には離職しないと中尾さんはおっしゃっています。確かに、自分が成長していることが実感できれば、安易に次の仕事を探す必要もなくなるでしょう。
数あるノウハウを試してダメな理由は、社員教育の「考え方」にあるのだそうです。そのキーワードは
- 目的意識
- ヒューマンスキル
- 真剣な情熱
です。
―目次―
第1章 教育の計画を立て、受け入れの準備をする
第2章 入社時教育がその後の成長の基礎になる
第3章 新入社員に悩みがあると教育効果は半減する
第4章 経験を通じて多くのことを身につけさせる
「教育する側が真剣にならなければ、新入社員も真剣にならない」
新入社員教育だけではなく、社員教育全般の中でリーダーが持つべきメンタリティについても、とても参考になる一冊でした。
追記:
第一章は出版社のホームページでご覧いただけるようです。ご参考までに。