最近の「八ッ場ダム中止報道」で感じたこと
昨日、サンデープロジェクトを見ました。国土交通省の前原大臣が、昨今のダム問題に関する意見を直接述べられていました。
この番組を見て、私の目には「前原大臣はいろいろと考えた上で中止を決めたのだな」と映りました。
前原大臣の意見を(あくまでも私が覚えている範囲で)要約すると・・・
- ダムを作ることにより、砂が流れなくなる、よって、防波堤などの新たなコンクリート行政を生んでしまう
- ダムだけではなく、川の資産全体を含めた視点で考えなければならない
- 中止により、八ッ場ダムのコストだけ見たらマイナスになるかもしれないが、140のダム全体の視点で見たら、プラスになる
- 一度動き出したらやめないのではなく、今後も踏まえて「止めるための仕組み」を作る必要がある
- 現在「作ったほうが得か損か」で報道されているのは、あくまでも予算で、同じ金額でできる保証はどこにもない
- 報道で映っているコンクリートの物体は、いかにもダムの工事のように見えるが、ダム本体の工事はほとんど未着手。報道されているのは道路の支柱で、道路自体は作る。
このような話だったと記憶しています。
話はとても分かりやすく、田原総一朗さんのツッコミにも論理的に、住民感情も配慮した態度でお答えになっていました。少なくとも、今まで住民に対して、「申し訳ない」ときちんと言葉にした政治家がどれだけいたでしょうか?
私はこれまで、コストばかりを伝える報道を見て、「ここまで作ってあるのなら、作った方がいいのでは?」と安易に思っていましたし、中止の理由も「マニフェストに書いたから」ぐらいにしか伝わってきませんでした。ですが、今回の前原大臣の言葉を聞いて、大きな視点で眺めてみることが大切なのではないかと思っています。
また、ダム本体ではなく、作る予定の道路の支柱を、いかにも「ダムが建設途中なんだ。これを中止するんだ」と言わんばかりに映し出される報道にも、やや違和感を覚えています。
テレビの情報を鵜呑みにしていると、「ダム=悪いもの」「すべての住民が反対している」などと考えてしまいがちですが、必要なダムもあるでしょうし、すべての住民のみなさんが反対しているわけではないのかもしれません(住民のみなさんが大変な思いをされているのは大前提です)。中止の是非はともかく、もっと大きな視点で情報を知る必要がありそうです。
「大臣が、直接語る場がもっと必要だ」と女性キャスターが言っていたのが印象的でした。
今は、大きな流れが変わる時期だと思います。将来から今を見たときに「あのときの選択があったからこそ、今こんなによくなった」と思えるような選択ができればいいなと思っています。
ダムに関する、「新たな発見」をしたサイト:
八ッ場ダムについて流されている情報の誤りについて(八ッ場あしたの会)
川辺川ダムについて(熊本県庁)