【書評】非常識経営の夜明け 燃える「フロー」型組織が奇跡を生む
今日は、経営や組織運営に関するブックレビューをしたいと思います。
非常識経営の夜明け 燃える「フロー」型組織が奇跡を生む 人間性経営学シリーズ2 (人間性経営学シリーズ 2)
天外 伺朗(著) 講談社
天外 伺朗さんは、ソニーでCDやAIBOを開発したソニー伝説の立役者。
コンピュータビジネスに携わってきた天外さんがおっしゃりたい「非常識経営」とは、IT化を進めること?とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
全くの逆でした。
天外さんは、ご著書の中でこうおっしゃっています。
いま、「綿密な情報システムを導入することが近代経営の要」、あるいは、「IT化が経営効率を改善する」という標語を、ほとんど全員が信じて疑わない。「IT信仰」といってもいいだろう。
バレンタイン・デーに大量のチョコレートが消費されるが、チョコレート業界の陰謀だったように、私は、いまの世の中の「IT信仰」はコンピュータ業界の陰謀ではないかと疑っている。
じつは、私自身がソニーのコンピュータビジネスの責任者を八年間務め、その陰謀に加担してきたので、その反省を込めていま書いている。
では、どうすればよいのか?というキーワードを一言で表すならば、サブタイトルにもあるように「フロー」型の組織を作ることだとおっしゃっています。
フローとは、心理学者のチクセントミハイによって提唱され、現在注目を集めてきている概念です。チクセントミハイによれば、フローとは「楽しみ」。そして、人が潜在的に持っている、すざましい能力を引き出し、活用する力。その精神状態を言います。
この本の帯には、このように書かれています。
- 組織図は作るな
- 規則やルールは一切禁止
- 反省・分析をしてはいけない
- 給料は社員が自分で決めろ
- 楽しくなければ仕事じゃない
今の経営学や組織論からしてみたら、真逆ですが、とてもよく分かる気がします。
私がマネジメントやるようになったとき、まず最初にやったことは目標を持たせたり、工数を調べて数値で見えるようにしたり、分析したり、それを元にプレッシャーをかけたりしたことでした。それが当たり前だと疑りもしませんでした。けれども、一向に良くならないばかりか、むしろこと細かく管理されるのでギクシャクしてくるんですよね。いくらプレッシャーをかけて正しくさせたところで、楽しくありませんもん。
いかに「正しく」仕事をさせるかより、いかに「楽しく」仕事をしてもらうか?
「楽しく仕事をすること」にフォーカスしたり、1対1で話す時間をたっぷり取ったり、カウンセリングをしたりしていくことで、組織が活発になって、自分も楽しかったことを思い出します。
横文字の経営の知識がいくらあっても、それを実行するのは「人」。管理手法よりも心理学的な「人」に関する知識のほうが役立ったような気がしています。この著書でも、「人」に関することが多く触れられています。
そうやって、人間性を磨いてきた人は、安易にアメリカ流の合理主義経営や、成果主義に飛びついたりはしないだろう。それは、賢者を装った人による、安っぽい、表面的な経営になってしまうことが、ひと目で見抜けるからだ。
結局、こういうことなのかもしれません、
今後は、「フロー」型の組織が時代を先導していくのだと思います。スポーツの第一線で活躍している監督さんも取り入れている「フロー」型組織。もし、経営や組織運営にお困りでしたら、多くのヒントになると思います。オススメです。