オルタナティブ・ブログ > DXA 竹林昇の『Take IT easy』 >

ロック世代の文系ITビジネスマンが社会と企業のITとDX(デジタルトランスフォーメーション)を易しく語ります。

「わかる」とは「分かる」ことだった!:再読了、 考える技術・書く技術 バーバラ・ミント著

»

ある人に勧められて、もう一読み直してみました。

バーバラ・ミント女史によって、1973年に出版された「Logical Thinking」に関わるクラシック、論理的思考についての古典ともいえる著作です。

1980年代に初めて読んで以来、なんどか振り返っていましたが、ちゃんと読み直したのは本当に久しぶり。日本版では「新版」となっていて、当時はなかった具体的な実践方法についての章も追加されていて、さらに分かりやすくなっていた。

結論から言うと、読み直してよかった!

この本で述べられていることは、難しい「論理的思考」でも、「考える技術・書く技術」ではなく、

ヒトが物事を、理解したり、把握したり、整理したり、それを、またひとに伝えるときに「分かる」「分かった」「分かりやすい」と感じる、「分かる」という言葉の原点、基本の説明と、「分かる」を実践するための方法が、「分かりやすく」述べられていいるのだ。

要約:「分かる」とは、「分けることが出来る」ということなんだ。

この本が述べている「分けて考える」ための技法は大きく言って次の2点(または3点)。

1)ピラミッド型に構造化する(層に分ける)

階層化して、つまり層ごとに「分けて」考える。

置かれている状況、解決したい問題、解決のための施策、その施策を実現するための施策、などの「層」に「分けて整理する」

2)MECEに整理する。

状況、問題、解決のための施策、などのそれぞれの「層」のものごとを、「漏れなく、ダブりなく」

配置、整理してみること。

「MECE」とは、英語のMutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字で、

超訳すれば、「漏れなく、ダブりなく」。

3)その組み合わせ(「同じ層で漏れなくダブりなく」を行う)

事象を何階層かの「1)層」に分けた上で、2)その同じ層で、「漏れなく、ダブりなく」分けて

考える。

自分の頭の中で、または、グループでのディスカッションの際に、この3つを実践することが、

問題解決に近づくもとっと有効な道であり、各種のプレゼンテーションや提案書に、この3つの技法を

適用することが、相手の共感・理解を獲得して、案件を成立させる有効な方法だと、この著作は説いて

いる。

近年、「論理的思考」への過度な依存を避けて、「デザイン思考」を推奨する声が高まっている。

私もそのひとりなのだが、この本の述べていることは、デザイン思考ともなんら矛盾しない。

むしろ、もういちど、この技法を徹底したくなる内容の魅力的な本でした。

社会の、顧客の、そして自分たちの問題を解決したい人にお勧めです。

考える技術・書く技術100940.jpg

Comment(0)