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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

プロとアマのグレーな境界なんてどこにでもある話だけれど、だからこそ何時の間にやら境界を踏み越えているのもよくある話

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例の企業年金運用に絡んだプロとアマの境界の話。個人的には完全にアマチュアなのだけれど立場上プロフェッショナルとして扱われるところにおかれたとき、そしてそれをあまり意識していないときに起きる事象の1つであるという捉え方をする事は出来ると思います。もちろんそもそもプロとはどういう状態なのか、アマとはどういう状態なのかという議論はあるわけですが、これはその状況や事情により異なりますから一概にどうだと決め付けるわけには行かない。たとえば一部のスポーツのように明確にプロとはどういうことであるという定義がある場合もあれば、個人が素人でも立場としてプロとして扱われるような場合もある。プロとアマのグラデーションは決して一様では無いわけです。

 

素養、教育、経験、そして立場

本当に千差万別で、何が出来たらプロで、何ができないなら素人と線引きをするのは簡単じゃありません。もちろん前述した一部のスポーツのようにプロの定義がはっきりしている分野はありますし、一度プロとして動いてしまうとアマとは一緒に出来なくなる分野もあります。

こと金融に関して言うと、親子三代サラリーマン家系の私はあくまで自分の持っている資産範囲で動く単なる一般投資家のレベルを出ておらず、実際デイトレに手を出してるわけでもなく、レバレッジは怖いのでFXとか先物とかにも手は出さないぞという意志だけははっきりしている普通の人だったりします。当然金融機関の窓口に行ってもそういう扱いを受けるわけで、それ自体に別に違和感はありませんし、それ以上背伸びする気も無い。個人的には実はそれなりに金融周りについては勉強してきていますし、それなりに怪我をしたこともあるのですが、所詮素人の世界での話。基本的には専門外なんで、そんなもんです。

 

誰とどういう付き合いをしているのか

因みにそういう人は世の中にそれなりの数はいるよねと勝手に思っているわけですが、そういう私が(ありえない話ですが)突然財務部門などで企業のお金を運用する場に立ち会ったりすると、その立場にいるうちはプロとして扱われるわけですね。でも相手はそもそもプロな訳で、キチンと理解できていないとある意味良いように扱われてしまう事がゼロか?というと、多分そんな事は無いと思います。もちろん、そこではビジネスとしてお客さまとどうお付き合いするかという部分での信頼関係が無いと話が進まないわけで、実際それが金融の世界だろうが製造業の世界だろうがサービス業の世界だろうが継続的なお取引を願う上では一般的におかしいと思われるようなことはしないよね?という理解が前提となるわけです。

とはいえ、世の中全てが性善説で動く訳ではないという事も忘れてはいけない大事な事なので、担当した業務自体については素人でもビジネス全体をどうとらえ、どういう相手と何をしているのか何をしようとしているのかを見る目だけは曇らせちゃいけない。もちろん、これって全然簡単な事じゃないのはよく判っていますが。

 

因みにぐるっとまわって自分が経験したマーケティング系の話に強引に持ってくるとですね

誰もが比較的口を出しやすい分野だったりしますし、それなりに面白そうだったり華やかに見えたりする事がありますから、昔から色んな人が途中で口を出してきます。これはもう仕方ない。私自身がいわゆるマーケティングという世界に絡みはじめた20年以上前の時点で既にそういう話は普通にありましたし、そのなかで駆け出しの担当者として色んな人から頭ごなしに怒鳴られたり、あるいは自分が暴走して周囲に多大なる御迷惑をおかけしたりとか、それでも悔しいのでひたすら文献やら書籍やらを読み散らかして勉強していろんな立場のプロの人たちの話を聞いて、あるいはこちらから相談して・・・

ここでふと思うと、実は私がマーケティング系の話、特にマーケティングコミュニケーションの世界に足を踏み入れたときに、本当にありがたいことに業界全体の中でも一目おかれるような人たちと接する機会が本当に多かったようです。今から考えても本当に恵まれた立場にいました。それが今の自分の仕事に生きてるのかと言われると「滝に打たれて出直してきます」と言うしかないのですが、そこで(広義のマーケティングの世界での)本当のプロに接したことによってプロとはどういう事なのかという事を学べたのは事実です。

 

自分がある分野でのプロであるという意識を持つとき

その「プロ」の概念が他の業界でも通じるものかどうかは一概には言えないとは思います。ただ、血気盛んだけれど思い込みの激しいアホな私の鼻っ柱を何度もへし折ってくれた人たちのお陰で今の自分があるのも間違いない。必要な人を回りに集めて仕事をするということがどういうことであり、必要なときに相談できる人と繋がっておくのはどういうことであり、こちらからお返しできるのは何かを考える事であるか・・・ 別にソーシャルな何かを否定するわけではありませんが、目の前で切った張ったの世界でしか伝わらないモノがあって、そこで得たものは体で覚えた事なので何かの拍子に思い出せる種類のモノであるわけです。

で、そんな私がいっぱしのプロとしてその世界で生きてゆけたかと言うと、ある時期は間違いなくそういう状況だったと思います。どこかで素人(アマチュア)から仕事人(プロフェッショナル)へ境界を越えていたわけです。今はその分野から微妙に離れてしまいましたけれど、少なくともその分野である時期は間違いなくプロとして振舞えたし、そう扱ってもらえていたし、そうする事に強い使命感を持っていた訳です。その分野については。ただし、その境界を越えたのが何時だったのかなんてのは意識していませんし、今思い出してもよく判らない。でも、境界を越えてプロとしてプロの世界で動いていた時期が間違いなくありましたし、今でも必要な状況に置かれた瞬間にはそちらの世界に戻ります。別に引退したわけじゃないので。

 

どこにでもプロを名乗れる人、あるいはそう目される人や組織があったりします。自分にとって良い事なのか悪い事なのかは一概には言えない。でもそれを知っているか意識してるかは別にして、結果的に入り込んでしまったときに素人が丸腰では色々と大変な事が起きるのは業種業態事情その他を問わずあるもの。世の中はそういうものだという事は忘れちゃいけないよね、と思いを新たにするものであります。

 

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