カントリーリスクというモノの捉え方は色々あるべきじゃないかと思うんです
今の世の中、意識するしないに関わらず生活のどこかしらに海外との接点があったりします。自分が買う物、食べるもの、着るもの、勤務先、業界、経済全体、そしてもっと大きな政府間の話。それこそ鎖国でもしない限りどこかに接点があって、実はそれら全体が一定の状況で安定していることが前提となっていたりします。それがサプライチェーンの世界。でも、それが何らかの理由で上手くまわらなくなってくると意外なところに影響が出るわけで・・・
例えば震災が露見させた日本が抱えるカントリーリスク
3月の震災直後から色んな業界のいろんなサプライチェーンが断絶したことによる経済への影響というのは非常に大きいわけで、そもそも世界中の地震の何割かが集中する日本が潜在的に抱えるリスクというのが改めて認識されたのは誰もが理解している事だとは思います。もっとも自然災害だけではなく政治的な側面からとか、人口問題とか雇用問題とか財政の問題だとか何だとか言い出すと日本は日本で海外から見たときにそれなりにカントリーリスクを持っているわけです。
もちろんこのアタリの話はそれぞれの方の立場によって評価が異なる話ですし、自国に対する評価と他国に対する評価を全く同じ軸で行うのは難しいし、単体での評価とは別に他の国や地域と較べてどうよみたいな相対評価と言う部分もあるし、歴史的背景を踏まえての評価も当然そこに加わるわけですから一概にどうよとはいいにくい面があると思います。
たとえばタイの水害を目の前にして・・・
余りにも大規模な水害の模様は各種のメディアを通して目にする事が出来るわけですが、それらの一定の量の情報に現地の日本企業もしくは日系企業の工場などの施設が被災している模様やら、現地に住む邦人の状況やらが含まれているわけです。もちろん今回の水害は確かに例外的な話かもしれません。ただ、その原因に森林の伐採やら何やらが絡んでいるとなると話は別です。一朝一夕に何かが解決できる話では無いわけで、今を何とか乗り切ってもその後でどうなるかというのは別の話なわけです。
タイの場合、一時の騒乱状態はありましたが、政治的にも経済的にも基本的には安定しているということで比較的リスクの低い国であるという評価がある一方で、今回の事態を受けて別の側面から物事を評価する必要が当然ですが出てくるわけです。
因みにそういった要因というのは世界中のどの国や地域でも固有の問題を抱えていますから、だから北アフリカから中東はどうのとか、ユーロどうするのよとか、マネーロンダリングだと判断したらアメリカは怖いぞとか、中国の経済はそろそろヤバイぞとか、中米が長雨でコーヒーが高騰するぞとか、TPPでどうするのよとか、FTAで韓国に先を越されてどうするのよとか、やっぱりトルコが地震の被害を受けた地域は復興支援に海外の人間を入れたくない地域なのかとか色々考えたりはしますが、だからといってあの国や地域は駄目だとか怖いとか気をつけろとか簡単に決め付けるわけには行かない。あくまでも可能な限り全体を況を俯瞰しつつ状況をキチンと押さえてゆくという姿勢が必要な訳です。
そういったことを相対的に考えるのがカントリーリスクの世界、の1つの捉え方だと思って居ます。私は。もちろんそうじゃないだろという話はあるでしょうが、私のような考え方もあっておかしくないと思っています。
何が正解なのかはわかりませんが
例えば生産拠点を海外移転するとか、サービスの拠点を海外に置くとか、果ては本社機能を移すぞみたいな話まで出てくるそれぞれの選択肢はそれぞれの事情で決定するべき話で、それが日本の経済を空洞化させる悪い話だとかなんだとか一概に決め付けるべきではないと思っています。そもそも置かれた状況やとりまく事情は時代によって変わりますし、気が付いたら価値観の根幹も変わる訳です。それは駄目だって?いや、無理でしょ。鎖国でもしない限り誰も止める事は出来ないんですから。
だからと言って「じゃぁどうするべきなのよ」みたいな結論めいた事は何もいえないのですが、少なくとも自分の目の前にあるモノやモノゴトは日本国内で完全に完結しているわけではなく、完結できるものではなく、また完結させるべきものでもないというコトを時々思い直すのは悪いコトでは無いと思っています。