BOPって何だろ?
マーケティングの行動のなかで市場をどのように定義し、どのような形で事業を展開してゆくかというコトは大事な事です。大きくはB2BとB2Cに分けて考えるという方法があるわけですが、市場そのものをどう捉えるかと言う別の次元での話があります。そのなかで、たとえば市場における7割の売上は3割の顧客からもたらされる系の話があるわけですが・・・
基本的な企業の行動原理について考える
ある程度の大きさの塊で売り上げる方法もあれば、いわゆるチリツモビジネスというものも存在します。どれが正しいのか、どれが間違っているのかというコトは一概には言えませんが、たとえば国内外、たとえば特定の業種業界ごとなど、それぞれで色々と区分けをして考える事が出来ます。それらをどこまで厳密に分類して考えるかというのは日常必要な行為ではないのですが、市場の状況を考える上でパターンとしてどのようなモノを適用できるのかと考える事はある意味大事な行為にはなります。
因みに、どんな企業であっても完全にひとつの目的だけのために設立されているケースは稀で、しかも市場環境や経済状況に応じて微妙に業態が変化することはよくある話。ただ、軸は何なのか、あるいは根本的な行動原理はどうなのか、というコトを分析的に見る事が大事な場合もあります。特に、何かしら新しいビジネスに踏み込むぞとか、あたらな投資計画を発表したとか等などの動きの際には、そのあたりの理解がその企業の動きの本質を判断する非常に重要なファクターになることだけは間違いありません。
たとえそれが変わったという判断を下すにしても、それまでの姿と新しい姿との差分を理解することがとても重要です。一般論として。
BOPという考え方の存在
Bottom Of the Pyramidの略(一部にはBase of the Economic Pyramidとも言うようです)で、所得階層上の中間所得層の下の層を指します。本来は開発途上国における貧困層への何かしらのアプローチを行う上での市場の定義のために出てきた言葉で、市場全体は巨大なのですが個々の購買力は非常に弱いのが特徴で、結果的にチリツモ系のビジネスに近い形を取る場合もあります。たとえばこれらの層の所得向上のための支援活動なども含んで居たりしますが、最終的にはこの層に対するマーケティング的なアプローチが主で、ニーズにマッチした特定商品の開発や販売も含めた経済活動全体を総称してBOPビジネスと言う場合が多いかなと思っています。そして、この対象となる層自体をBOP層と括ることになるわけですが、世界的な規模で言うとココに世界人口の約三分の二にあたる40億人程度が想定されています。
因みにその考え自体が「西欧諸国による覇権的な考え方である」という主旨の指摘がされる事もありますが、実際にはその場でも何らかの市場経済が動いているわけで、別に先進国のどこかの企業が勝手に作った市場ではないというコトは覚えておく必要があります。単にそこで活動するPlayerが市場をどのように捉えているのかという1つの考え方でしかありません。
でも身近な話と言える可能性もあるという
もっとも、それを世界規模で捉える場合もあれば、特定の国や地域の中での市場の区分けで考える事もあるのは事実で、そもそもどういう価格帯のどういう商品をどのような形で提供するのかというところを見ると、たとえ相手にしている主要市場が国内であっても(日本から見て)海外で展開されるBOPビジネスと基本的に同じような行動原理を持った市場と言うのが浮かび上がる事があります。単に価格が高い安いとか言う単純な話ではないのですが、例えば結果的に収奪型ビジネスと呼ばれたりするものっていうのは、その代表的なものかもしれません。
もちろんBOPという言い方自体は先進国ではなく開発途上国における存在として取り上げられる事が殆どなのですが、たとえば日本市場を俯瞰してみると、どうもそのようなものが浮かび上がる事があるような、そんな気がする事があります。因みにどの業種のどの企業と言う分析はココではしませんが、この日本の経済事情、微妙に混乱しつつあるEUの状況、春半ばでモヤモヤしたままの北アフリカの話等など、そんな目で市場全体を眺めてみるという姿勢自体は悪では無いと思っています。
ITだけではなく、通信だけでもなく、もちろん自動車やら医療やら何やらを全部ひっくるめて市場をどのように捉えるかというのはそれぞれ立場があり、何が正しくて何が間違っているという話を簡単に切り分けするのは難しいのですが、とりあえずそんな風に市場を眺める姿勢は大事ですし、その姿勢から得たものを透かして色々な企業の行動や行政の施策を見つめる姿勢は大事です。勿論なにかしら考えの柱が無いと論拠も何もあったモノではないですが・・・
いや、何となくそんな事を真面目に考えてみる事がたまにはあるんですよ。私にも。