ソーシャルメディアの発展期待論にも潜む「ガラパゴス論」への誤解、という考え方
いわゆるソーシャルメディアと呼ばれるカテゴリーのサービスのうち、たとえば私が日常使っているのはTwitterとTumblrくらい。因みにTumblrは自分自身の気持ちとして「本気ではまり込むとヤバイな」と思うところがあって、ときどき眺めるくらいにしています。ほんでもって、いわゆる王道としてのFacebookやLinkedInは殆ど放置ですし、mixiに到ってはアカウントすら持っていません。
そんな状況では、なんだか取り残された感って無いの?
いえ、全く。
でも、もっとソーシャルコミュニケーションの輪や範囲を積極的に広げて行きたいと思わない?
いえ、全く。
もっとグローバルなコミュニケーションも・・・
いや、だから全くそんなの思ってないからさぁ。
もちろん、世界的に見て非常に多くのユーザーを獲得しているサービスというものの立ち位置や受け取られかた、そしてその意義については理解しています。が・・・
大木さんのエントリーFacebookは、やっぱり日本では定着していないにあるように、たとえばFacebookを日常使っている人っていうのは、残念ながら私の身の回りには全く存在していません。外資の企業勤務経験のある人が昔の同僚から連絡が来たとか、留学経験のある人が昔の同級生を偶然見つけた、なんて話はあります。ただ、それらの人も結局普段はまったくLOGINしていないんです。少なくとも私の周りでは。
もっとも、何かしら理由があれば、有る特定のシステムでないと連絡が取れないような状況が生まれれば使うでしょうね。でも、漫然と色んなシステムやサービスを使ってみて、それで世界を広げる事の楽しみ・・・なんて話を聞いても、なんだかチンプンカンプンです。
でも、全面的に後ろ向きじゃないんですよ。必要性が無いから。
例えばIBM時代に、社内系のメインフレームのネットワーク上に構築された、VM(IBMのメインフレーム用のOSのひとつです)で動くフォーラムと呼ばれる掲示板的なサービスがありました。ココには製品担当者や開発担当者が世界中の現場の人間と直接話をしてて、たとえば時差の関係で日本の夕方までに質問を投げておくと最初に欧州のどこかの誰かが拾って、USの開発担当者とかが整理して回答を確定させて、翌朝出社すると解決!みたいなことが日常ありました。
私がIBMを退社して随分と経ちますから今はどうなのか知りませんが、1980年代後半から1990年代半ばまでデモセンターでプロトタイプや出荷直後の製品を扱う事が多かった私、かつてこの(システムのみならず人と人の間としての)ネットワークに何度助けられたか判りません。逆に、自分がテストした結果を踏まえて「これってこうじゃない?」と世界のどこかの誰かにヒントを投げたら正解だったとか、開発の人間に「これバグってない?」と投げたら「間違いなくバグなんで潰す作業はするけど正式ルートでレポート挙げてちょーだい」と返って来たり。そしてもちろん「アホなコト聞くな。まずマニュアルを読め」と怒られたり(笑)
この世界は範囲が全世界とはいえIBM社内でクローズしていたもの。でもコミュニケーションをとっている相手がどこの国の人かってのは全く関係ない話。要は困ってる人がいて、アイデアが出せる人がいて、解決できる人がいて・・・ という、コンセプト的には今のソーシャルネットワークに近い世界。
今から20年くらい前のこんな世界が自分の原体験だったりするわけで・・・
いわばB2Bのソーシャルネットワークみたいな奴なら「広がり」みたいなものを理解できるということかも
個人としてのつながりをネットワーク上に広く求めるほどの強い探究心と向上心を持たない私の場合、そこに自身の仕事を始めとした明確な目的がある場合には意義がわかるんですね。でも、個人の行為としてそんなの求めてないしなぁ、というのが正直な話。
あ、あくまでコレは私の個人的な主観に基づく私自身の意見ですので別に誰に強制するわけでも無いのですが、そういう立場を取る人間にとって「もっとグローバルに目を向けて、他の国みたいにもっと広く使おうよ」論がどうにも腑に落ちない。
あるいは「もっと他の国みたいに広く使われてもおかしくないのに、なんで日本はこの程度で治まってるの?」論も、やはり腑に落ちない。
逆に「なんでTwitterはこんなに広く普及したのかわからんぞ」論ってのは、まぁ例えば「モバツイがあったからじゃないの?」くらいの軽い意見は持ってます。だって、お陰でガラケーでお手軽に使える環境がある=日本向けに特化した日本のユーザーにとって非常に便利なサービスがそこにあったから、っていうのは事実なんで。
一応通信業界に身をおく立場としてガラパゴス論がどうのこうのと言い出すと収拾が付かなくなるので深入りはしませんが、折りしもモバツイのユーザーが100万を突破したとの話もあるわけで、ガラケーのためのガラパゴスなアプリがあったからグローバルなサービスが日本で広く受け入れられた側面があるのは事実だと思うんですよね。
で、それを踏まえつつ・・・ ふむ~、やっぱりよく判らん部分が・・・