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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

スペースシャトルの運用停止にともなってNASAの関係者の再就職支援プログラムが走るという事実

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本来リストラクチャリングとは再構成の意味で、たとえば企業がその事業の展開を大きく変える場合、その再構成にともなった資金面や人的資源、設備等の再配置を行う活動だよね?と言う話が本筋としてあるわけですが、そこに携わる人が非常に高いプロフェッションを持っている集団の場合、その再配置自体を組織内で完結することが非常に困難な場合があります。それはNASAでも例外ではないという話で・・・

 

今年中に運用が終わる予定のスペースシャトルに関連した従業員の再配置というのは、とてもではないけれどNASAの自家消費だけでは全くどうしようも無い規模のは話のようです。たしかにひとつのプロジェクト、ひとつの(ここではスペースシャトル)システムに対して非常に高い専門性を持った職員を他の仕事に振り向けるほどの雇用機会がNASAにあるかと言うと、これこそ「非常に」難しい話です。

こういう例は他の業界にも当然普通にあるわけで、だからこそ人とモノをコミコミで事業売却などの話が出るわけですが、流石にスペースシャトルの事業は売却できる種類のモノではない。ただ、いきなりサヨナラも出来ないわけで、米国連邦政府機関ではありますが事業終了にともなって解雇されてしまうという現実があるわけです。

で、今回の再就職支援のための1500万ドルの支出がそれに充てられる訳ですが、それらの知識やノウハウがそのまま生きる民間企業というのがどれくらいあるのだろうか、とか、ちょっとヤッパリ気になります。たとえば米国外に流れて行く人も多いのだろうか、とか。

 

まぁ日本の景気を考えると対岸の火事とは言い切れない部分もあるんじゃないかとは思うんです

例えば米国であっても、プロフェッションの方向によっては流動化しづらい部分もあるわけです。また、国としてのプレゼンスという部分での問題もあります。技術の蓄積が失われるという危惧もあるわけです。

で、それを吸収できないままになってしまうと・・・ たとえば記事の最後にもあるのですが、米国政府が火星に行くぜプロジェクト以外に当面計画を持たない有人宇宙飛行については、今後ロシアのソユーズに頼るしかない状況って本当に良いの?という議論とか、関連メーカーなども事業を維持できなくなり、軍事転用も難しいとなると技術自体が陳腐化し、また雲散霧消してしまうのではないかという危惧が合ったり・・・

これらの部分はとりあえず米国内である程度解決するべき話ですが、色んな形で日本を含めた各国に何かしらの影響が及ぶ種類のモノでもあるわけです。ただ、もちろん過去にも同じような流れから軍用もしくは連邦政府のプロジェクトの技術やノウハウが民間に展開、あるいは転用されていった歴史があるわけですし、その後にはまた別のモノがそこに現れてくるという、人まで含めた淘汰と世代交代の歴史がそこにあるわけですが。

 

いずれにせよ、歴史は流れる、というコトですね。

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