キヤノンマーケティングジャパンさんの「訳あって、今年の採用活動に出遅れます」宣言から考える事
私が大学の卒業を控えていわゆる就職活動を行っていたのは1984年。まだガチガチに就職協定が機能していて、面接やら入社試験やらの開始日、そして内定公示日は(表面上)しっかりと守られていました。
もちろんそこには色々な問題が内包されていましたし、色んな形での「抜け駆け」が発覚した例も多々ありました。その「就職協定」が作られた経緯、そしてその後に無くなった経緯、更には昨今の就活事情に至るまでの経緯というのは各所で語られているのでココでは詳しくは述べませんが、紆余曲折とは正にこのことかもしれません。
ただ、現在陥っている経済環境の状況は、現在一般的と思われている新卒社員採用の流れを一変させるであろうという予測も出ている訳で、このまま行くと例の「ロスジェネ」を生んだ頃の状況に再び見舞われるであろうという話がかなり現実味を帯びているような雲行きです。
景気刺激策について誰を支援するのが効果があるかという話があるわけで
雇用する側に対する支援が無いとデフレを支援するだけになってしまう論や、消費を拡大させるためには減税やら補助金といった消費者向けの対策を優先させるべきだ論、更には消費者向け対策で景気刺激に成功した例が世界的に見ても殆ど存在しないぞ説など百花繚乱状態なのが今の日本の景気刺激策論なわけですが、多くの産業、企業、業種、業態において先行きが非常に不透明なのは事実だと思います。流石にこれはアホな私も肌身で感じるところがあります。
ただ企業活動を止めるわけには行かない。ある方向に向けて縮小均衡するのか、それでも拡大策をとるのか、事業分野を整理するなどしてバランスを取るのか、あるいは別の手段を考えてバランスを取るのか・・・ その一つの動きが前述の「ロスジェネ再来説」に繋がるわけです。企業にとって新卒採用というのはいろんな意味でインパクトがあるわけですが、それを補って余りあるという判断があればこそ採用に踏み切れるわけですよね。これは間違いないわけです。
でも、今の状態では判断できない。
でも、状況は好転するのか?
そんな中、キヤノンマーケティングジャパンさんが新卒採用の活動を現在一般的とされるスケジュールから遅らせるという発表をしていたのをつい先ほど知りました
情報を仕入れたのは(やっぱり)TwitterのTLです。流れてきたTLの中に、この話。
そして採用サイトの告知を見てみました。
多分ココにたどり着くまで色んな議論があったのは事実だと思います。この発表自体についても更に色んな議論が出るのだとは思います。でも、現在の経済環境のなかで採用活動を行えるかどうかすらわからないという文面。一介のサラリーマンの私でも、それはとてもよく判ります。これは嘘偽り無い本音だと思うんですね。
背に腹は変えられない。散々引っ張って内定取り消し事件など起こすくらいなら、キチンと見極めて動きたいという話を最初からしてしまうということについては、とても潔い行動だと思います。
国全体を覆う経済環境を単独の企業が変えられるわけが無いわけで
色んな大人の話もあるとは思いますが、この動きに他の企業が追随するのかどうかはよく判りません。採用活動に出遅れるという宣言が他の企業にもできるかと言うのは個々の経営判断によるものですから一概に「追随したほうが良い」あるいは「追随なんか出来るわけがない」と決め付けるのも判断が出来ないものです。
ただ、間違いないのは、前述したように一介のサラリーマンである私も肌身で感じるほど景気動向は良くないこと、そして今現在はその出口が見えていない事。
まだ松の内ではありますが、とりあえず始まったばかりの2010年は間違いなくいろいろな事があるんだろうなという予感だけはします。