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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

ワイヤレスとモバイルというのは違う概念じゃないのか論

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諸般の事情により基本的に通信ネタは書かないようにしているんですが、ちょっとこれは書いておこうかなと。

いや、何かって言うと・・・ 通信事業者が絡む場合は一般的に「ワイヤレス」と「モバイル」が同一のものと理解されることが多いのだけれど、実は最近これは分けて考えなきゃいけないんじゃないかと思う部分。本来ワイヤレスの一部分がモバイルと呼ばれているモノなのだけれど、同一視されてるところが混乱している部分じゃないかと。

 

ワイヤレス=ラスト1マイルにケーブルがあると困るもの、そしてケーブルが無い方が良いもの

禅問答になるかもしれませんが、ワイヤレスってこういうこと?という考えが最近頭をよく過ぎります。無線LANは動機はケーブルが無い方が良いというモノなので定義としてはワイヤレスでモバイルではない。じゃぁPCにデータカードを挿して使うときは?これって実は使うときには基本的にはどこかに座っていたりするので定義としてはワイヤレス。でも新幹線とかクルマで移動してるときってどうよ?と言われても、たまたま座席が移動してるだけで使っている人はその場にいるだけ。本質的に移動することが前提ではないので、やっぱりワイヤレス。

自動販売機やエレベーターのテレメタリングあたりは明確にワイヤレス。あ、因みに自動販売機って同じ場所に「自動販売機」がずっとあっても「同じ個体としての自動販売機」がずっとソコに居ることって意外と少なくて、故障など何らかの理由で個体そのものは結構入れ替わったりして移動します。とはいえ移動することが前提ではないのでワイヤレス。

サイネージの端末などでも無線経由でデータを送るケースが結構あります。因みにショッピングセンターなどの自立型サイネージ端末って意外に微妙に移動したりするので有線だと困ることもあるので、ワイヤレス接続することが増えています。

飲食店などでオーダーを取るためのハンディターミナルは一定の範囲だけを動き回るもので、単にケーブルが無い方が良いものなのでワイヤレス。

どこかでポータブルとダブる部分がありますが、移動できるけれどケーブルが無い方が良いものがワイヤレスってカンジかもしれません。だって、Wire Lessなんですから。これは非常に広い概念。

 

モバイル=移動することを前提にしているのでケーブルがあってはいけないもの

ケータイ電話は一箇所で固定された状態で使われることはない前提なので、これはモバイルですよね。スマートフォンも電話の一種ですし、座った状態でなくても使えますから、これもモバイルと言えます。PDAとかMID、それこそ俺は電話じゃねえんだと称するiPhoneもモバイル。でも他には?

そうそう。飲食店用のハンディターミナルはワイヤレスですが、宅配便のお兄さんが持ってるハンディターミナルは移動し続けるのが前提ですから、ひょっとしたらモバイルなのかもしれません。通信機能を持ったカーナビとかは移動するのが前提ですからひょっとしたらモバイルというカテゴリーになるのかもしれません。

う~ん。なんだか混乱してきましたが、とりあえずモバイルの語源を考えると、そもそもは mobile: 移動するという形容詞ですから、動くのを前提としたモノであって、単に何かの束縛を受けずに移動できることとは違うんじゃないかというのが違和感の根幹です。

 

因みに例えば英語でよく表現されるMobilityという部分をどう翻訳するか、どう解釈するかっていうのが更に面倒くさいのですが、何れにせよ広域を移動するならケーブルがあっては困るわけで、その意味ではワイヤレス。更に移動することを前提としてクラスタリングするなら、モバイルと呼ばれるものはワイヤレスのサブセット。

そんな理解です。

 

で、何でそんなことを考えているか?

移動体通信と無線通信それぞれが示すところの微妙な関係、そしてそれが事業となった場合の立ち位置とか、その辺の切り分けの話が頭の中をモゴモゴと動き回っているわけです。

あまり通信業界の根っこに関わる部分は諸般の事情により書かないようにはしてるんですが、この部分ちょっと根が深いので、そのうちにまた取り上げたいと思います。

 

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