【ITU TELECOM ASIAから戻って】 危機管理と情報収集 前編
8月29日から9月6日までバンコク。微妙にいろいろな情報が飛び交う中、表向きはヘラヘラしてましたが、実は正直な話、現地で、現場でかなり焦った局面があったのは事実です。日本を含めたタイ国外の報道状況、国内で肌で感じた状況、そして私はどう対応したのか?
既に出国前から騒ぎは始まっていたわけですが
8月26日午後一番、バンコクで反政府デモが暴走し、国営放送局や首相府がデモ隊に占拠されているという情報が流れました。出発は29日の朝の予定。とりあえずInternet上のニュースサイトで情報を集めますが、最初はYahoo! Newsに掲載されていただけ。ほかのサイトにはまだ載っていません。バンコクがどのような状況なのか、さっぱりわかりません。その時点での状況として国営放送局が放送を中断し、また首相府が数万人のデモ隊に包囲されているということ。
「クーデターになるのか?」
隣のJapan Pavilionを担当している日本ITU協会の担当者の方に照会しましたが、その時点では何も情報がない。制作を担当している広告代理店の営業さんに現地法人を含めたルートでの情報収集を依頼。しかし困った。とりあえずなんとなく情報が上がり始めるInternet上のニュースサイトをしらみつぶしに見るしかない。とりあえず関連URLを関係者に展開。
しばらくすると、ITU協会の担当の方から連絡。外務省や総務省など関係各局も含めて問い合わせたところ、特に逼迫した状況ではないと判断しているとのこと。また、展示会会場にいるスタッフは、その状況すら知らないということ。この情報も早速関係者に展開。
その後、現場の設営のために先行して現地に入っていた制作会社のスタッフが一旦帰国し、広告代理店の営業さん経由で現地の状況の報告。曰く、バンコク市内は平静。空港もほかの交通機関も通常通り動いている。今回の事態に軍は関与しておらず、国営テレビも通常の放送に戻っているとのこと。早速関係者に展開。
「しかし、いったい、どうなっているだ?」
最初はこんな状況から始まりました。
飛行機は飛ぶらしい
そのまま27日、28日と経過します。デモ隊の写真や報道される状況に大きな変化はありません。27日には外務省の海外安全情報サイトに関連情報が掲載されているのを確認。渡航規制ではなく注意喚起のレベルです。フライトをアレンジしてもらった旅行代理店や航空会社のサイトを見る限りフライトに影響が出ているわけではない。主催者のITUからは何のお達しもないのですが、とりあえず行くしかない。集まった情報をまとめて出発前に関係者に展開。出展関連パートナー各社からも問い合わせを受け、その時点での最新情報を展開しつつ、粛々と準備するしかない。
「しかし、本当に大丈夫なのだろうか?」
一応集まっている情報から判断する限り大丈夫そうですが、不安が無い訳がありません。
とりあえずバンコクに向け飛びました。
29日の午前のフライトでバンコクへ。特に機内で得られた情報はありません。JALだったのですが、その日の朝、家を出る前に見たNHKのニュースがそのまま流れています。デモ隊の映像。
「まぁ、空港が閉鎖されるような事態でないのなら、大丈夫だろうけど」
予定通りバンコクに到着。空港は平静です。タクシーで市内へ向かいます。まったく平静です。
「それほど心配する必要は無いのかもしれない」
単に情報が途絶えているだけで、さっぱりナニがおきているのかわからないのですが、わからないから勝手に安心していたフシがあります。そもそも現地タイ語のニュースはさっぱり理解できませんし。その日は食事をして早く寝てしまい、翌日昼前に会場に入ることにしました。
大きな変化が無いまま日がたちます。
30日、31日と特に大きな変化が無く過ぎます。現地の日本大使館からも特に情報は入ってきません。そして9月1日。実はこの日、当初はPRESS DAYと発表されていたのが、前日になってPRINCESS DAY、つまりタイの王女様をお迎えしての式典となることが急遽発表され、ブースのスタッフは最小限、全員名前を登録し、朝7時30分までに会場に入れとのお達し。スケジュール表が発表され、そこでは王女様が会場を完全に退出する12時30分までは出入り禁止、ロックアウトするとの記述。
「えー、なんだよー、それ・・」
一応出展ブースを仕切っている立場上、私も当然その場にいる必要があります。現地に入っている役員をはじめ、関連各社の責任者の方に連絡し、それぞれ会場に来てもらうことに。逆にほかの方については何もできないので、実質オフになりました。
物々しい警備
王族が動くわけですから、会場の警備も尋常ではありません。もともと当初から金属探知機を使ったチェックがすべてのドアで行われていましたが、この日のチェックの厳しさはさすがです。導線によって事前通告なしで通路が閉鎖されますし、一旦展示会場を出た後はロックアウトが解除されるまで戻れない。この経緯については別項で触れたいと思っていますが、基本的な警備は軍隊が動員されています。自動小銃は持っていませんが、軍隊が警察と共同で会場をロックアウト。その部分だけを見ると、まるでクーデター状態です。
とまぁ、そんな9月1日だったのですが・・・
と、少し長くなったので、一旦前編としてここで終わります。すぐに後編を書きます。
ちなみに、これからバンコクに行かれる方について、ここまでの私のエントリーはあくまでも私の置かれた状況と収集できる情報に基づいた内容ですので、(バンコクに限りませんが)ご自身できちんと情報を収集し、分析し、ご自身で判断されることを強くお勧めします。